ヘビとエバ サボの歯をのみこんだ日から、ずっと喉がつっかえている感じがする。
ぺらぺらの布からまばたきの音すらたてないように這いでて、山賊たちのいびきがひびく冷たい廊下をぬき足さし足すり歩くうでにすねに夜の空気がまとわりついた。
眠れない。
『エースはどうしてできないんだ?』
日向の声があたまにこびりついて離れない。
きょうもサボといっしょにいた。
サボに足をおさえてといわれたけどやりたくなくて、さわりたくもなくて、うさぎがきれいに肉になっていく様を黙ってみていた。
『やるかやらないか、だまって受けるか立ち向かうか。エースとエースをいじめるやつのちがいなんて、それだけなんじゃないのか?』
そんなわけあるか。
やっていいことと悪いことがあるだろ。殺すのも殴るのも金を盗むのも悪いことだ。おれはしようとも思わないんだ。サボは悪いやつだ。
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