ふたりだけ「ふーふーちゃん?」
おかえりのキスを楽しみにドアを開けたのに。
玄関には、愛しい人が倒れていた。
「…ふーふーちゃん!!」
そっと、影を落とす身体に触れた。
まだ、大丈夫。息をしている。
「う、き」
「ふーふーちゃん!どうした?なにがあった?」
問い詰めるように言うと、目の前の優しいサイボーグは目を細めて笑った。
「ガタが来てるんだよ…ほら、ここも取り替えないとさ」
ぼろぼろになった身体を、あくまでも冗談にしようとわざと僕に見せつける。
「…」
ふーふーちゃんは、一瞬にして曇った僕の表情を見てすぐに顔を歪ませた。
数秒の沈黙の後、耐え兼ねたように言う。
「ごめんな…俺が…こんな」
「謝らないで。ふーふーちゃんは何も悪くない」
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