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    生首グエルと旅するオルコットの冒頭ラフ書き

    #生首グエ

    ラフ① ある日、グエルから依頼が来た。
     これをある場所まで運んで欲しい、というメッセージと共に届いた荷はフットボールが入るぐらいの箱だった。なんでも、運んだ先で埋めて欲しいという。ついでに、開けないでくれ、と。
     前金を言われた通りに払う社長に対し、やれやれ仕方がない、とオルコットは引き受けたがしょうがないだろうとサイドミラーの自分に言い聞かせた。なにせ、目的地がかつての、あの、学校だったのだから。
     サイドミラーの自分はじとりと睨んでくる。地球でよく見る傷だらけの鏡とは大違いだ。というのも、箱と共に提供されたトレーラーは恐ろしくピッカピカの高性能で、案の定旅の始まりで良からぬ輩に襲われた。
     結果。
     オルコットは、誓って潔白だが、固定を本当にうっかりと忘れていた箱が転がり、その衝撃で箱の蓋が空いているのを見てしまった。
     なにも考えず箱を大きく遠回りし運転席へ飛び込むと、襲撃してきたバカ共から離れるために車を飛ばし、そして止めた。現実は無情で箱は転がったまま。当たり前だが、箱は何も言わずにそこにある。
     沈黙。今すぐグエルに言うべきか、あるいは。あるいは――今、伸びている左手を止めるべきか。
     そしてそのままそっと、左の指が箱の角をつまんだまま角だけで立たせてみせる。
     最初に抱えた時に思ったが、重い。一体アイツは何を入れたのか/オルコットも人の子であり、好奇心はまだ生きている。
     その迷いが精密な機械の指を震わせた。
     ごちん、と箱が指から滑り床に再びぶつかり――
    「うわっ」
     声が聞こえた。箱の中から。
     脳と繋がった脊髄は氷柱を差しこまれたように冷え堕ちたくせして、腕は咄嗟に箱を持ち上げていた。
    「ああ、オルコット。……おはよう」
     見覚えのある表情が箱の中、檻のようなケースから見上げてくる。
    「悪いが、スイッチを入れてくれないか?スリープ機能が切れたらしくて」
     申し訳なさそうに、グエル・ジェタークの生首は眉尻を下げていた。
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