ムウマリュ.
清潔な寝台の上に、鶸色が鮮やかに広がっている。
そこはアークエンジェル内、搭乗員用の一室。
時に、キラを初めとした年若い彼らが 其の心境を吐露し合っていた。そして時には、人に晒せない思いが澱のように閉じ込められたりもした場所。
そこで──
「居ないと思ったら、こんな処に隠れているなんて」
マリュー・ラミアスは一人、嘆息した。
寝台にて長身を横たえていたのは、同艦乗組員のムウ・ラ・フラガであった。
青白くさえ思える簡素な敷布に広がる鶸色は、彼のものだ。 一息つく為の時間は、作らなければなかなか取れないものとはいえ、まるでここが戦争などしていない別荘でもあるかの如く、こうも気持ち良さげに昼寝をされては、指揮を執る重圧を背負うマリューからあらゆる気が抜けていく。
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