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    kkrnskb1911

    @kkrnskb1911

    備忘録 忘備録

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    kkrnskb1911

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    🥞に淡い恋心を抱きたい……そして勝手に失恋したい。
    同学年🥞🎩3️⃣。
    多分最初で最後の㋿👿夢小説。

    ##令和悪魔くん夢

    ㋿👿の学パロみたい……見たくない? いつも難しそうな分厚い本を読んでいるか、机に伏せて眠りこけているか、しかしていない埋れ木一郎くん。みんなからは「悪魔くん」と呼ばれている。
    授業参観の時にも、三者面談の時にも、親らしき人を見た事がないので、多分、一人暮らしなんだと思う。
    どうやら、隣のクラスのメフィスト3世くんと、「千年王国研究所」というところで探偵業のような事をしているらしい。たまに街中を二人で歩きながら、何やら難しそうな会話をしているのを見掛けた事がある。
    一瞬、声を掛けようか、と思うけれど、何故だか二人の邪魔をするのは悪い気がして、いつもそっと遠くで見つめることしか出来ないでいた。



     午前授業で終わったあの日、忘れ物をして教室に取りに戻ったら、誰もいない教室にぽつんと埋れ木くんだけが、窓際の席でいつものように机に突っ伏して昼寝していた。
    彼の不思議な薄いグレーの髪色が、昼間の太陽に照らされてきらきらと輝いて見えて、少しだけ眩しく思えた。
     春先の暖かい風が、開けっ放しの窓から入ってきて、薄いカーテンがぶわり、と舞い上がる。
    埋れ木くんの姿をそのカーテンが隠してしまって、影しか見えなくなってしまった。
     その光景が、何故だか儚く見えて、このまま目を離してしまったら、埋れ木くんがそのままぱっと消えてしまいそうに思えてしまって、
     ぶわり、と強く吹き込んできた風に思わず目を瞑ってしまう。
    慌てて目を開けると、やっぱりそこには変わらずに、いつものように机に突っ伏して昼寝している埋れ木くんが居た。
    それはただの空想、いや、妄想に過ぎないのに、何故だかほっとしている自分がいて、いや、違う。これは恋にも満たない、ただ、春の陽気にあてられただけで、
     なんて考えながら、耳を熱く赤くしていると、不意に後ろのドアが開いた。

    「あ、いたいた、悪魔くん!」

    はっと我に返って振り返ると、メフィスト3世くんがそこに居た。
    小さな彼はつかつかと埋れ木くんの元まで歩いていくと、その肩を揺り動かしながら話しかけている。

    「おい、そろそろ起きろ。帰るぞ。」
    「…ん、ああ、メフィストか。………」
    「今日はこの後依頼人が来る予定なんだから、早く!」
    「うるさいな…もう君だけでもいいんじゃないか。」
    「そういう訳にはいかないだろ!ほら早くしろ!…お前何も荷物無いのか?」
    「教科書の内容は全て頭に入っている。」
    「ああそう…はあ、お前が羨ましいよ、楽そうで。」
    「なら君も暗記すればいいだろ。」
    「それが出来ねぇから言ってんだろ!皮肉かよ!…もう、んな事言ってたら帰ってもホットケーキ焼かねぇからな!」
    「何故そうなる?君だって昼食べてないだろ。君のも無くなるけどいいのか。」
    「なんで俺のも無くなるんだよ!」

     まるで世界に二人しか居ないかのように、まるで私という存在が居なくなったかのように、軽快に軽口を叩き合いながら二人は教室を去っていく。
    もちろん、そんな訳はなく、教室の扉を開けたときに、ちらりとこちらを窺うような視線をメフィスト3世くんからは感じたものの、ただそれだけで、やっぱり私は存在そのものが透明になって消えてしまったような錯覚に陥った。

    (……埋れ木くん、メフィスト3世くんの前だとあんなに喋るんだな。……ホットケーキ、好きなのかな。…………ああやっぱり、これからも声は、掛けられない、な。)

    二人が帰って、今度は私一人だけが教室にぽつんと取り残されて少し経った頃、私の頭の中に浮かんだのは、そんなちっぽけな感想と、ちっぽけな、失恋と言うにも烏滸がましい、胸の奥の痛みだけだった。
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