幽霊族の血足をすりむいてしまった鬼太郎の傍にしゃがむ水木。
「こんなもん舐めときゃ治るけど」
「あっ、待て！　水木！」
「ん？」
水木の持った赤チンキを見て伸ばし掛けた手を下ろす目玉。
「なんじゃ舐めんのか」
「治療道具あるんだから普通にこれ塗った方が良いだろ」
「僕は舐めてもらっても構いませんけど」
「こういう道具が無い時の最終手段な。あと膝なら自分で舌届くだろうが」
ちょんちょんと鬼太郎の膝が赤く塗られる様を眺めながら目玉が頷く。
「うむ。水木よ、鬼太郎も聞け。わしらの血液には注意した方が良い」
ハッとした様子で鬼太郎が父親を覗き込む。
「もしかして、僕たちの血を舐めると……」
「そうじゃ、人間には強い毒ともなる」
「それって」
ドキドキとしながら口を押さえる鬼太郎。
「水木さんが我を忘れて僕に襲い掛かってくる、そんな効能があるかもしれないんですね」
「そんな効能は無い」
「そっか……水木さん、理性強いから……発情したけどどうにもならなくて僕に助けを求めてきたりするんですか？」
「そんな事にはならん」
何だか分からないが絶対に舐めないでおこうと心に誓いながら赤チンキの蓋を閉める水木だった。