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    水ゲタ練習。失恋して髪の毛を切ろうとするゲタと息子の恋愛にはしゃぐ水の話。

    信じても役に立たないこの世は信じるに値しないことばかりである。周囲から疑い深いと評されることの多い鬼太郎ではあるが、自己評価の上でも根拠のない理想や事実を無謀に信じられるほど自分は前向きではないと思っていた。警戒心が異常に強い妖怪や、他人を必要以上に疑う人間に比べれば甘いものだろうが、自分だって何もかもを信じられるほど理想的な性格をしているわけではない。

    悪人ばかりの世界ではなかったとしても、依然としてこの世界には嘘も裏切りも偽りも蔓延しているのだ。子供のように何もかもを素直に信じてしまえる方がおかしい。疑いの目をきちんと持っている自分はそれには該当しないと、少なからずそんな風に思っていたのだけれども。

    どうやら鬼太郎は、根拠のない理想を闇雲に信じていただけらしい。

    「まるでわしの若い時のようじゃのう」

    明らかな変化をまとって帰宅してきた実子を、だが小さな父親は見咎めることなく笑って受け入れた。その奥にある感情に気づいているとは思えないが、こんな時、懐の大きい親を持ってよかったと鬼太郎は心の底から思う。果たしてもう一人の親はこんな自分を見てなんというのだろうか。淡い期待のような、あるいは絶望のような心持ちで鬼太郎は染めたばかりの髪を触った。

    「しかし岩子のような色もよかったぞ」

    母親譲りの髪も大切にな。
    そんな風にやさしく心を包まれ、鬼太郎は思わず言葉を失ってしまう。たかが人間のように髪を染めたくらいで、何を感傷的になっているのだ。とはいえあの瞬間の彼には、これぐらいしか現実逃避の術がなかったのもまた事実だ。

    養父の隣を歩いていた女性は、誰がどう見ても美しい人だった。

    ここ最近の水木の周りには、嘘か真か分からない噂が常に飛び回っている。地獄から帰ってきた、幽霊を見て髪色を失った、あの世に美しい恋人がいる、何者かと幽婚をした、実は離婚歴がある――胡乱な噂を上げれば枚挙にいとまがない。それだけ影響力の強い人間なんだと、鬼太郎はこれらの噂を少しも信じたことがなかった。だってそうじゃないか、妖怪である鬼太郎にとっては荒唐無稽というほどではないが、人間にとってはこんなもの所詮はただの与太話にすぎない。信じる方が愚かな噂ばかりだ。しかしそれすら、鬼太郎は根拠のない理想を闇雲に信じていただけだったのだろう。

    嘘であって欲しい――そんな己の願望がなかったといったら、どうしたって嘘になってしまうのだから。


    黄昏が迫りくる時刻、やたらと野生のカラスがうるさい自宅の庭付近で、鬼太郎は文字通り漫然と歩き続けていた。今日という一日の記憶がまったくない。労働に出ている当の養父はまだ帰ってこないだろうと安心しながら、いつまでもぐるぐると同じ場所を回り続ける。

    そんな奇妙な精神統一を図っていた鬼太郎であったが、現実とはなんと無情なものなのか。若者が追い詰められているこんな時に限って神様は運命のいたずらをする。無残にも、玄関の向こう側から鬼太郎の名を呼ぶ明るい声が響いた。

    「ただいま、お前そんなとこで何やってんだ」

    この世の終わりとばかりに沈んでいるのは鬼太郎だけであって、この消沈は水木には一切関係がないものである。今日に限ってなんでこんなに早く帰ってくるのだと内心で地団駄を踏みながら、鬼太郎は引きつった表情でなんとか必死に言葉を返した。

    「ちょっと気分転換に散歩してて……」
    「散歩って規模じゃねぇだろ。それよりお前、髪色どうしたんだ」

    水木は示すような動作で自分の髪を触った。案の定というべきか、確実に指摘されるであろうことは分かっていたけれど、鬼太郎はまだ心の準備ができていない。

    「ワカリマスカ」
    「分かんねぇやついねーだろ」

    ふざけたように水木は笑ったが、とてもじゃないか鬼太郎は微笑むことすらできなかった。目ざとい養父のことだ。髪色以外にも、いつもより元気がない鬼太郎の様子にも当然勘付いているのだろう。誰かをあざ笑うかのよう、遠くで耳障りなムクドリの鳴き声がした。

    「にしても急にどうした。そういうタイプだったか?」
    「どういうタイプですか」
    「いきなり髪の毛染めるか!みたいな」

    ゲゲ郎は何も言わなかったのかい。
    遠まわしに心配されているらしい。優しくしてくれる相手に意固地になれるほど自分は強くないと、鬼太郎はとうとう弱音を漏らすように白旗をあげた。

    「……切る髪がなかったから」

    笑いたければ笑えばいい、もはやそんな投げやりな気持ちだ。

    「ん?」
    「人間は失恋をしたら髪を切るんでしょう?でも僕は、髪を切っても意味がなかったので染めました」

    これを彼に伝えたところで一体何になるというのか。無意味な自傷行為をしていると自覚しつつも、鬼太郎は視線を逸らしながらぶっきらぼうに呟くしかなかった。

    「昨日失恋したんです、僕」

    二人の間に露骨な沈黙が走る。果たして水木はこの子供のそんな告白をどう受け止めたのか。髪の毛を切れば運気の流れも変わる。信じても役に立たないであろう迷信でも、あの時の鬼太郎には数少ない気晴らし――あるいは現実逃避の手段であった。黄昏を呼ぶ風が辺りにひやりと吹き付ける。

    沈黙が怖い、これからどんな風にからかわれるのだろう。俯いたまま自分のつま先を見つめる鬼太郎の感傷を知ってか知らずか、途端、水木は重い空気を切り裂かんばかりの浮かれた大声をあげた。あぁ、この世は無常だ。

    「……なんだ!なんでそんな面白い話を俺にしないんだ!」
    「そういう態度で来るからですよ!」
    「まぁなんだ、俺も一応お前の親だからな!そういう話なら聞くぜ」
    「無駄にはしゃがないで、お義父さん!」

    子供の失恋に舞い上がるな。いっそ本人に笑ってもらえればこの恋慕の供養にもなるかと思ったが、実際にこうして楽しまれると酷く腹が立つ。これ以上触る必要のない膿んだ傷口を、これでもかとめちゃくちゃにかき回されている気分だ。

    陰鬱にげんなりとする鬼太郎の両肩を掴んだ水木は、そのまま近くにあった植木の石積へと彼を強引に座らせた。そうして自身も隣に腰を掛け、ご丁寧にも続きを促そうとしてくる始末だ。しばらくは嫌だと抵抗していた鬼太郎であったものの、あまりにしつこい水木の追求にまたしても降参してしまう。

    自分の悲劇が話の種だとしても、わくわくと楽しそうに笑っている水木を見ると、鬼太郎はどうにも例えようのない複雑な胸中になってしまうのだ。嬉しくはない、絶対に嬉しくはないはずなのだけれども。自分は好きな相手には弱い男だったらしい。

    「……好きだった人に」
    「おう」
    「恋仲の方がいたらしくて。噂だと思ってたけど本当に一緒に歩いてるところ見てしまって」
    「あぁ……」
    「交際相手のことなんて何も知らないですけど、すごく綺麗だったから」

    まるで貴方のように背が高くて、足が長くて、肌が白い美しい女性だった。

    「だから、僕の恋は終わったんですヨ」

    休日の繁華街近く、たまたま見上げた歩道橋の上で彼らは仲睦まじく笑い合っていた。どんな状況だって水木を見紛うはずがない。その時の彼が決して自分たち家族には見せないような仕草をしていたものだから、鬼太郎の恋心はたちまち砕け散ってしまったのだ。水木の恋人など所詮は与太話だと、根拠もなく信じていたその時までの自分が愚かで恥ずかしい。

    最初から叶う恋ではなかったけれど、それでも現実を突き付けられれば流石の鬼太郎といえど心が折れる。そうして呆然とした意識のまま美容院に駆け込んだというのだから、我ながら昨日の自分はどうかしていた。

    「なんだ、諦めるのか?」
    「諦めるしかないですよ、向こうだって困るでしょうし」
    「いやいや第一、本当に彼女かどうか分からんぞ? 噂だろ?」

    それも一瞬は考えたが、今の鬼太郎は既にその可能性を望む次元にはいなかった。相手が本当に恋人であるかどうかの確認なんて、もはや彼にとってはどうでもいいことである。今回の相手が実は恋人ではなく親類や友人であったとしても――だからといって鬼太郎の恋が叶うという訳ではないのだ。与太話だと一蹴していた噂がいずれ本当になる日が来る。

    今回のことはその現実を直視させられ、信じたいものを信じる都合の良い己を思い知らされた……そんな、ただのきっかけに過ぎなかった。

    「あっ、怖いならゲゲ郎あたりに聞いてきてもらうか!?」
    「もぉ~~! 本当にはしゃがいないでください! 本気で傷ついてるんで、僕!」

    謎のやる気を出してくる水木から逃れるよう、鬼太郎は両手で顔を覆って俯いてしまう。こんな死体蹴りがあってたまるか、頼むからさっさと興味を失ってくれ。

    「言っても聞いても迷惑になる相手なんです。最初から相手に面倒をかけるつもりもないし」

    本当に叶う恋だとは思っていなかった。だからこの気持ちを伝えるつもりも、真実を問いただすつもりもはなから無いのだと、鬼太郎はハッキリ断言してしまう。落ち込んでいようと死体蹴りをされようと、それだけは誓って言い切ることができる。ただ、こんな惨めな台詞をまさか本人の前で言う羽目になるとも思っていなかった。

    二人の間にまたしても痛々しい沈黙が流れる。そんな健気な恋をする鬼太郎から、水木は果たして何を感じ取ったというのだろうか。真剣に呟く鬼太郎を見て流石に思うところがあったらしい。

    「……まぁなんていうか、下手な慰めしかできないけどさ」

    たちまち追及とご機嫌な言動を改め、水木はやさしく鬼太郎の背を叩いた。

    「人間も妖怪もみんなそうやって大人になっていくものだから……元気出しな」
    「すぐには出ないです」
    「なんだ、女の子なんて星の数ほどいるって」
    「それは本気で下手な慰めですよ」

    何か思うところがあっても、水木に鬼太郎を励すセンスはないらしい。

    「これでもお前さんは優良物件なのにな。相手は損したぜ」
    「……そんなことないです、妖怪の僕なんて父さんとシェアハウスの事故物件だから」
    「すまん、俺が悪かった。笑うからやめてくれ」

    どうしてこんな人を好きになってしまったのだろうと鬼太郎はひとり思い悩む。息子が一世一代の失恋をしているというのに、どこの世界にこんなふざけた励まし方をする親がいるというのだ。ツボに入って笑いを噛み殺している水木を見て、やはりふざけていたんじゃないかと鬼太郎は歯ぎしりをする。

    しかし好きになってしまったものは仕方がない。こんな都合のよい人間性でも、励まし方のセンスがなくても、どこまでも下手な親であろうとする性格でも。それでも鬼太郎はそんな水木が大好きだった。こんな風でも自分を心配して、話を聞こうとしてくれる優しい彼が好きだった。へぇそうなんだ頑張ってと、適当なことを言って去ることもできただろうに、無神経なりに自分の恋に興味を持ってくれる愛らしい彼が好きだった。

    鬼太郎が本気で落ち込んで俯けば、途端に慈しむように見下ろしてくる――そんな美しい心を持った水木が好きだった。

    「まぁでもな、お前も若いんだからそんな塞ぎこまなくても、すぐに新しい恋ができるよ」
    「事故物件を愛してくれる人なんていますかね」
    「自信持ちな、お前は心理的瑕疵を補ってあり余る男だよ」

    どこまでも冗談めかした言い方だったけれど、水木の優しい声音に鬼太郎は思わずぐっと喉を鳴らしてしまう。本当はずっと、今すぐ泣き出してしまいたいほどに苦しかった。信じたいものしか信じていなかった、そんな弱くて愚かで惨めな自分が嫌で嫌で仕方がなかった。受け止めきれない事実を、そうであっても受け止めなければいけない現実から逃げ出して堪らなかった。

    だが愛する人はそんな愚かな自分のままで良いという。更にはそんな愚かな自分に自信を持てとまで言ってくれる。それが鬼太郎と同じような感情から出る言葉ではなかったとしても、愛する人がこうして自分を肯定してくれるのなら……消えていくだけのこの恋慕も、少しは報われたのではないだろうか。

    なんだかまだ信じられないと、鬼太郎は拗ねた子供のような表情で疑いの視線を向けたが、大人の水木は困ったように苦笑するだけだった。

    「本当だって。お前には人を惹きつける力があるからな」
    「本当にそう思ってくれてますか?」
    「なんなら俺が世界一そう思ってるよ」

    訳アリ物件の俺が言うんだから間違いないと、水木は一体何を根拠にしたのかよく分からない肯定をしてくる。やはりこの人はどうにも人を励ますのが下手らしい。されど鬼太郎を褒める彼の表情に嘘はなかった。

    嗚呼、最後の最後でこんなにも素晴らしい感情を貰い受けることができた。思わず涙ぐみそうになる涙腺を必死に堪えて、鬼太郎は無理やり笑顔を作ってみせる。

    決して自分と同じ感情ではないけれど、水木は恋に破れた鬼太郎の精神性を世界で一番肯定するという。愛する人がこうして自分の愛と恋を認めてくれた。愚かでも惨めでも、だからといって間違いではないのだと己を鼓舞してくれた。彼がそう言ってくれるなら、こんな自分でも少しは好きになれそうな気がした。

    結果的には恋を失ったわけだが、彼のその言葉だけで鬼太郎はもう充分に救われていた。水木の肯定を信じれば、この先もきっと強く生きていけるはずだろう。たとえこの恋を捨てられなかったとしても、他ならぬあなたが肯定してくれるのであれば。

    ありもしないもしもを信じて、そうして夢の中で愛することはできるから。

    なんて人を好きになってしまったのだろうと嘆いた先程の後悔はきちんと撤回する。やさしくて、あたたかい、うつくしい心を持った人間。今の鬼太郎はこの人を好きになってよかったと心の底から思っていた。愉しげな雰囲気で笑われた時はもう立ち直れないとも思ったが、案外、水木本人に話してよかったのかもしれない。不幸中の幸い……とは少し違うか。何はともあれ人生は予測できないことの連続だ。これもきっとその一貫でしかないのだろう。またしても根拠のない肯定を信じるわけだが、それだって悪いことばかりではないと鬼太郎は自分を慰める。そうやって自我を持ち直した少年を横目に、果たして水木はずっと何を考えていたのだろうか。

    青空は夕暮れの薄紫に追い詰められ、待望の闇が今か今かとその顔を出し始めている。特に話すこともなくなったと、沈んでいく太陽を見つめる鬼太郎に、水木は人知れずこっそりと笑いかけた。宵闇が己の感情を揺さぶったのだといえば、大人としては赦されずとも、心優しい鬼太郎はきっと許してくれるだろう。

    夜への誘い、今度は水木が苦悩を吐露する番だった。

    「……そうだよな、失恋ってつらいよな」

    今さらそんなことを言い出した水木は、どこぞの女子学生のように、ふざけて己の髪の毛をくるくると弄び始めている。今度はどんな茶番を始める気なのだと鬼太郎は静かに警戒した。せっかく燻りから脱却したのだから、また無神経に傷口を舐めまわされても困る。

    「俺も髪の毛切ろうかな」
    「え? なんで」

    しかし水木は至って真剣な表情で鬼太郎を見つめ返した。いつ話の落ちがくるのだと、鬼太郎は心してその時を待っていたのだが。

    「好きなやつに好きな人いて、今しがた俺も失恋しちゃったから」

    水木は悲しそうに眼を伏せ、そう呟くだけだった。

    「それともそいつと同じ髪色にしようかな」

    まるで何かにすがるよう水木は鬼太郎の髪へと手を伸ばし……されどそこに触れることなくその腕を下ろした。夜盲の鳥達が、追いかけてくる闇から逃げるよう一斉に飛び立っていく。触れられてもいない髪が燃えるように熱くなって、肺が息を吐くことを忘れて、心臓が地獄から走り去るかのごとく踊り出した。鬼太郎はただ、惚けたまま目の前の現実を見つめることしかできない。

    そんな悲しそうな顔をしないで。臓器の奥から湧き上がる愛の情動も、理性の喉元で『いやそんな甘い感情になっている状況ではない』と立ち止まってしまう。

    「ごめんな。ふざけて励ましたけど、思ったよりつらいな、これ」

    本当に傷ついていたのは水木の心なのか、それとも鬼太郎の心と頭皮なのか。

    「まぁでも俺は、お前と違ってこれをチャンスと捉える男だから」

    ぽかんと口を開けたまま呆然とする鬼太郎を置いてけぼりにして、水木はまたしてもふざけるようにパッと手を叩いた。もう何がなんだか鬼太郎にはよく分からない。ただ己の精神にあるのは、この大人を糾弾したいという本能のみ。これはお門違いの怒りなのかそうではないのか、それすら鬼太郎にはもう判断がつかない。

    信じていたのに、信じたくもない現実も、根拠のない肯定も、あなたのことも……全部ぜんぶ信じたのに! あぁそうだ、自分はまたしても信じなければならないものばかりを信じて!

    「事故物件と訳アリ物件同士、お似合いだと思うだろ?」

    水木は混乱する鬼太郎に気づきもしないで、乞い媚びるように笑いかけてきた。普段であれば愛しいと思うであろうその気まぐれさも、平静を失った鬼太郎の前では何の意味もなさない。

    もはや鬼太郎は自分でもよく分からない感情のまま水木に掴みかかり、そして。

    「ぼ」
    「ぼ?」

    叫ぶ以外、他はなかった。

    「ぼくの髪を返して!!」

    鬼太郎は信じたいものをずっと信じて生きてきた。時には信じたくない事実もあったけれど、それでも現実を受け入れるようになんとか生きてきた。しかしそれすら、根拠のない現実――おそらくはそうであろうという現実を闇雲に信じていただけだった。この世界には嘘や裏切りや偽りの他に、傷つきたくないという自己保身が蔓延しているのだと、鬼太郎が本当の意味で知るのはもっとずっと後の話だ。

    何はともあれ人生は予測できないことの連続だ、これもきっとその一貫でしかないのだろう。贅沢な裏切りが必ずしも少年の心を平穏に癒すとは限らない。共に歩いていたのが本当に友人だったのだと知る時、この少年はこれ以上何を想い、狂うのか。決意を固めたとて、何かを信じるというのは素晴らしいことばかりではないのだ。それは愛する人の戯言だったとしても。

    とてもじゃないがこんな状況で愛など紡げないだろう。

    驚いたように笑う水木にすがりつきながら、鬼太郎はまたしても闇雲にすべてを信じる自分を恥じることしかできなかった。


    信じても役に立たない
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