キーホルダー仕事で地方の駅に寄った際、ご当地キャラだろうか、八重歯が特徴的なツンとした表情の犬のキーホルダーを見かけた。どうにも狗丸に似ているように感じて、一つ手に取りレジへ差し出す。大した理由は無かったが、どうしても連れて帰りたくなった。
キーホルダーは鍵に付けることにした。毎日帰宅して鍵を引っ張り出す際にそいつと目が合う。特にニコリともしていないその表情がやけに可愛く思えた。
鍵を見つめていると龍が手元を覗き込んでくる。
「楽、それこの前の地方ロケの時に買ったやつだよね。何のキャラクター?」
「さあ」
「え、分からないのに買ったの?」
「まあな。可愛いだろ?」
「うん、可愛いけど」
わざわざ鍵に付けるなんて随分と大事にしてるんだね、と微笑ましく見つめられる。確かに、肌身離さず持っていようと思って鍵に付けたのだ。大事にしていることは事実だ。
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