日が暮れきった街に出るやいなや、道をゆく人々の大きな流れに巻き込まれることとなった。ここの住人だけでなく、近隣の地域から遊びに来ている者もいるようだ。
崩れかけた建物のあいだを橋のように繋いでいるロープには、簡素なランタンが並べて吊り下げられ、その明かりが優しげに頭上を照らしている。
当初の予定では、大通りの交差点にある広場だけを会場とするはずだったが、商魂たくましい商人たちは、いくつかの街通りにまでその手を広げたらしい。
道の両側を挟むように夜店が並び、そのあいだを行き交う人々で、通りはなかなかの混雑ぶりだった。
繋いでいる手へわずかに力を込めながら、アスタリオンが半歩先を進んでいく。旅のあいだは俺が先頭を歩いていたから、こうして誰かの後を付いて行くのは、なんだか新鮮な心地だった。
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