片頭痛持ちのアルハイゼンの話目が覚める。
いつもの朝より部屋が薄暗い。雨でも降っているのかと体を起こせば、ズキリと頭が傷んだ。
「…っ!」
アルハイゼンは幼い頃から、天気が悪い日は頭痛になりやすかった。それが片頭痛というものだと知ってからも、体質は変わらなかった。
こういう日は寝ている方がいいのは分かっているが、仕事机の上に重なる未処理の書類を思い出して溜息をつく。繁忙期に休めるほど、教令院の書記官は暇じゃない。
気怠い体を叱咤して身を起こし、朝食の準備をする。簡単なピタを作り、コーヒーを入れる。
いつも通り読書をしつつ、朝食の時間を過ごす。
騒がしい同居人は、数日の間留守にするとメモを残して帰ってきていない。
どうやら大きな仕事が入ったと、前に話していたから、きっとその関係だろう。
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