恋い痴れる「お前、良く見れば綺麗な顔しているよな。幽霊族ってのはみんな顔が整ってンのか?」
酒で多少は舌の滑りも良くなって、水木は相手の顔を見るたび思考の片隅に浮かんでいた考えを話題に出した。
隣で猪口からちびちびと酒を舐める男はすでに随分酔いが回っている様子で、若干虚ろな目をうっそりとこちらへ向ける。
「さあの、自分の容姿が特別整っていると感じたことはないが」
しかし以前、妻に目元がかわいいと言われたことがあっての、とすかさず伴侶との惚気に移行する男の話を聞き流しながら、水木は自分の分の酒を喉の奥へと流し込んだ。
「お前の奥方も、写真でひと目見ただけだが別嬪さんだったよな」
「当然じゃ、あれほど美しいものは他に居らん!笑顔が花が咲いたように美しいのは当然じゃが、怒ったときに……」
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