慣れ徐ろに口の中に指を突っ込まれて、その加減のなさに反射的に涙が浮かぶ。
何するんだって怒りたいのはやまやまだけど、それで間違って指を噛んでしまうのは、嫌だ。
大人しく指が抜かれるのを待つけど、むりやり引き剥がしたりしないことに気を良くしたのか、口もとに笑みを浮かべながら頬の裏や歯の並びを強く擦られる。
ぞくっとした感覚と同時に口の中に分泌されてしまう唾液を垂らさないようにするのに精一杯。
なのに蘇枋の指は止まらない。どんどん息が苦しくなって、もうダメだ……と思った瞬間、やっと指が出ていった。
つぅっと蘇枋の指と自分の口を我慢していた唾液が結ぶ。
「頑張ったね、桜君。……どうする?」
どうする? なにを? ……もう一回、するのか?
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