タイトル未定③二人で使っているベッドに脹相を静かに下ろしてやる。着ていたスウェットを雰囲気も何も無くがしがし脱いでいこうとするもんだから慌てて止めに入った。上着は既にベッドの下だ。
「もどかしいな、それともそういう趣向か?」
「ならスウェットじゃねぇんだわ……だから〜今日は優しくしたいし、俺が全部やってあげたいンです……」
どうせ脱ぐんだろ?と脹相の顔に書いてある。変にモジモジされるより、このくらい開けっぴろげな方が俺としては気がラクだけど、即物的なのは卒業したつもりだ。セックスはコミュニケーション。俺も脹相も、背負ってしまったものが大きい。だからせめてお互いだけは大切にしたいではないか。
脹相の右手を取り、手の甲の恭しく口付ける。脹相の手は厚くて大きくて暖かい。何度これに守られたか。指一本一本にキスをして、末端がデカい割に括れた関節を唇で辿り、二の腕、肩、首筋へと辿り着く。
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