セiフiレのひぐちょからゆちょになる話4「今日で最後だ…」
脹相が俺から目線を逸らせて呟いた。
仕事終わりで、着ていたスーツの上着をソファーに放り投げ、ネクタイを外し、ワイシャツのボタンを外したところだった。いつもならここまで数秒で脱ぎ捨てるのに、今日はのろのろとしていたから、これを何時言おうか悩んでいたのだろう。
彼は物事を割とハッキリ言うタイプだ。正直というか、嘘が下手と言うか。最初こそ、彼のそんなサッパリした部分が好ましかったが関係が長引くにつれ段々と口が重くなってきたのだ。
腕時計やネクタイを贈る度、困ったように笑って受け取る。数回それを繰り返し、最終的に気持ちは嬉しいがこういったものは不要だと本当にやんわりと押し返されしまった。
ああ自分は彼の懐に入れたのだと思った。
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