儚い恋「ジュ‥‥ーーー」
「‥‥ねぇさっきから何吸ってんの?悠仁」
目の前の花壇に咲いている綺麗なピンク色の花を採っては
その花の一部を取り、
後ろの細い方から何かを吸っているようだった。
「ん、花の蜜だよ。ツツジっていう」
「ふーん‥‥美味しい?」
「美味しいよ。先生も吸う?」
「ん、いいや。それより悠仁からのキスが欲し~な~?」
そう言った時にはこっちを驚いたような目で見られ
その目にはこの人は何を言っているのだろうと問い掛けたいような目だった。
「‥‥あーうそうそ、冗談だって。ごめ‥‥‥」
チュ‥‥…‥‥
グイっと服を掴まれ何をされたのかと思いきや
自分の唇と悠仁の唇がいつの間にか付いていた。
「!‥‥‥え…‥‥ちょ、ゆうっ、じ‥‥」
ちゅく、ちゅる、
「‥‥ぷはっ‥‥‥どうよ?甘かったでしょ」
「え、あ、甘かった、気がする‥‥‥…‥‥//」
まさかだった。いつもはしないはすの悠仁からしてくるなんて。
悠仁は悠仁で今は余裕そうな顔でこっちを見ている。
大人の余裕がない自分の顔は今どんな顔なのだろうか。
「じゃあ俺今から任務だから最後に、」
サラサラとしている五条の髪の毛に
ツツジの花を掛けると青い目、白い髪の毛に綺麗なピンク色が
マッチしていて一種の妖精にでもなったのだろうかと
思うぐらいに儚く、そして華麗だった。
「先生、ピンク色のツツジの花言葉はね、愛の喜びだってさ。
じゃあ先生また今度一緒に話そう」
「ちょ、待って‥‥!今夜暇なら僕の部屋来て!!!!抱きたい!!」
「はいよ~」
手を伸ばし、止めようとしたが
ひらひらと手を振りながら去っていく様子は
いつか自分の元から離れていくように儚く脆かった気がするのだった。
ーーーーー
「あー、そんな事あったな…‥‥…‥‥はは、僕から離れていってどうするんだ…‥‥」
今は薄暗く骸骨により囲まれ身動きが出来ない空間にとじ込まれ
自分こそが儚く脆かったのだろうと実感するのだった。