翡翠の鷹が見る夢は 愛してる。
愛してる、キミのことを、昔から、ずっと。
『俺』の事を呼ぶ彼の声はとても必死で。それがたまらなく愛おしいと思ってしまうのは果たして『俺』の感情なのか、『私』の感情なのか。
この夢を幾度となく幼い頃から見ていた。それがいつの話なのか皆目見当がつかないが、それでも大切なのは変わりがない。
「また、あの夢」
今際の話なのかいつも自分を呼ぶ彼の顔は見えない。それでも覚えているのは彼の愛用している香水の香りだけが鼻腔の奥に燻っている。あの男は、一体、誰なのか。
「誰だ、」
その夢のあとはいつも泣いている。悲しいのか寂しいのか、いつもその幻影を追いかけていて、なんだかいつもより疲弊してしまうのだ。自分自身あまり夢を見る方ではない。この夢以外にみる夢などはないかのように、これ以外は起きても覚えていないのだ。
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