とくべつ 俺の人生、こんな事ばかりだ。
強い光に焼かれそうで、それなのに焦がれて。だけどその光に手を伸ばすのをやめられない。自分がない俺には、そういう生き方しかできないのかもしれない。そうだとしても、やめてしまえたら良かったけれど。もう今更、どうやって変えたらいいのか分からないでいる。
人と関わりたくない人なのだと思った。程よく距離を置いて、必要な時だけ共に仕事をする、そんな関係でいいのだと、最初は思った。俺ももう誰かと過剰に近づきたくなかったし気楽でいいと。それがなんだ、部屋から出てきすらしなかった人が、今こうして俺たちに生き残る術を教えている。
呪い屋らしく陰気で鬱々とした、だけどその反面かつての英雄だという頃の面影を確実に残した、真面目なこの人は。いつだって人のためにばかり動く、俺とは似ても似つかない、立派な人だった。
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