一人称視点練習湿った土の匂い
腐りかけた肉の匂い
自身の汗の匂い
おおよそ嗅いでいて気分のいいとは言えない匂いに包まれながら僕は地面を掘り返している。
何故こんなことになってしまったんだろう。
ただ彼を愛していただけなのに。
もう数時間はこうしている。
浅くては野生動物に掘り返され、人に見つかる危険がある。
深く、深く。誰の目も届かないほど深く。
隠さなくては。
人より出来ないことが多くて、生きることが下手くそな僕を全部受け止めてくれていた。
見捨てず側にいてくれた。
僕には彼しかいなかったし、彼にも僕しかいなかったはずなのに。
段々目が合わなくなり、話も返って来なくなった。
ずっと一緒に居てくれると言ったのに。
見捨てないって
1人にしないって
1981