first contact 打ちっぱなしのコンクリートの天井を蛍光灯の灯りが無骨に照らしている。浮上したばかりの意識でぼんやりと記憶を辿ろうとするが、力が入らず輪郭のぼやけたような身体と同じように頭も上手く働かなかった。蛍光灯の灯りが痛い程眩しくもう一度目を瞑ると、心拍をモニターする機器の音が聞こえるのに気付いた。ここは病院なのだろうか。それにしては他に音が少なすぎる気がするし、ほんの少し見えただけの景色も病院然とはしていなかったように思う。疑問がひとつふたつと湧いて出たが、それでももう一度目を開ける気にもならず、彼はそのまま再度意識を手放した。
この部屋には窓が無く、まるで地下牢のような重い空気が立ち込めている。ほんの少し動かせる首を左に傾けると、鏡と手洗い場のみがぽつんと壁に付いていた。地下牢のようというか、本来はそれに該当する場所なのかもしれない。
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