Provocation(レヴロバ) 彼女の高揚は大切な友達が家族の様に傍に居てくれると信じて満足したからか、それとも憎き仇が思惑通りに行かず意気消沈しているのが心底愉快だからか。そのどちらをも兼ねて、世界が全て自分中心に回っていると言わんばかりに女王然として尊大に構えている。過去に全てを失ったローバ・アンドラーデには、全てを手にするに相応しい確かな欲望と行動力がある。それは数々の歴戦の強者が集まるApexゲームの参加者たちの中でも一際輝く魅力に違いない。
ストームポイントの砂浜を一人で散歩していたローバは、最近の出来事を思い出していた。アニータとの仲直りとレジェンド継続を祝した乾杯、カイリとの映画デート、ローバの様子を見守ってくれているジャイムとのメール。相変わらず世間は不穏な動きを見せていたが、大切な人たちと一緒に居られるというだけでローバには充分な事だった。皆が私を必要としている、私を大切だと思ってくれているのだと安心出来た。それは宝物に等しいのだと誰よりもローバはよく知っていた。
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