遠距離恋愛赤黒「もしもし。こんばんは、赤司くん」
「こんばんは。いつもより遅い時間だけど大丈夫?」
「大丈夫ですよ。本読んでたら、つい夢中になっちゃって」
ふふっと小さく笑えば、黒子も同じように笑い返してくれた。
日が変わる、少し前。一日が終わる穏やかな時間に、彼の落ち着いた声が優しく電波に乗る。
東京と京都。離れた距離を思えば、なかなか頻繁に会うことは出来ないし満足に触れ合えることも出来ない。遠距離を繋ぐ二人の一番の連絡手段は電話だった。とはいえ、赤司は多忙の身であるし、黒子だって日々の練習で忙しいので、通話だって週に数回である。寂しさはもちろんあるけれど、こうして恋人の声を聞くだけで疲れも吹き飛ぶから不思議なものだ。スマートフォンを耳に当て、椅子の背もたれに体重を掛けて目を閉じる。
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