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    masasi9991

    @masasi9991

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    masasi9991

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    本編が始まるちょっと前のデググラです

    ##デググラ

    心臓の音


    「グランツ? グランツ? 大丈夫か!?」
    「う、わ、ああ……、大丈夫だ」
    「全然大丈夫じゃなさそうだ!」
    「いや、大丈夫、大丈夫なんだ」
    「だって今のおまえは何を言っているかぜんぜんわからないぞ」
     そんなことはない。全然しっかりわかっている。と答えようとしたけど、さっきまで以上にろれつが回らなくなってしまった。
     頭がくらくらする。視界もぐるぐる回っている。足にうまく力が入らなくて、自分の足なのに自分の足じゃないみたいだ。
     なのに地面とのキスだけは免れている。なぜだ? 身体中が熱い。飲みすぎだ。
    「さすがに飲みすぎだ。しょうがない」
    「う」
     もう返事はまともな声になってもいない。もっと前からそうだったかもしれない。胸が詰まって変な声が出る。
    「ゆっくり歩こう。家まで送るからな」
    「うん」
     辺りがぼんやり明るい。ほとんど暗い。いつの間にか店の外だ。そしてキミに引きずられるようにして、どうにか歩いている。
     そうだ、ほとんどキミに寄りかかって、歩いている。飲みすぎて倒れそうになったおれをキミが抱きかかえてくれて、それから。
     身体中が熱いし、身体で触れているところも熱い。心臓の音がする。酒で早くなった自分の心臓の音か? いや、そうじゃなくて、寄りかかっているキミの胸から聞こえる心臓の音だ。
    「デグダス、すまない」
     なんとかそれだけ声になった。キミが頷いたような気がする。申し訳なくて顔を見上げることができずに、寄りかかって項垂れて、そこがキミの胸板で、心臓の音が耳の奥まで響いてきて、また、身体と頭が熱くなる。
    「今日の飲み会は楽しかったなぁ」
    「ん」
     思わず見上げると、大きく笑っているキミの横顔と二つの月が、眩しかった。
    「おまえが来てくれてうれしかった。他の採掘師の連中も、うれしかったろうな。それにおまえがたくさん笑ってくれていて、楽しかったぞ」
    「そんなに、笑っていたかな」
     今は返事もままならないが、酔っ払った頭で、さっきまでの宴会のことを思い出す。笑っていたかどうか。まだ少し自信がない。
     ただキミはおれを強く抱き寄せて、笑ってうなずき、そしておれの顔を覗き込んだ。
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