今夜のわすれもの一
二人分の寝息が響く部屋の中、こちらもあっという間に意識を手放してしまいそうだ。今日はかなりのハードスケジュールだったからな。自分も早いとこ布団に入らなければ。
そう思いながらも家のことや明日の仕事の準備を細々とやっていると、思いの外時間が過ぎてしまった。やっとのことで布団へ潜り込もうと、足音を殺して寝室へ向かう。……といっても慎ましいワンルーム暮らしだから、あるのは昼間は居間で、夜は寝室の一部屋しかないんだが。
さて、自分の布団は真ん中だ。だがそこに潜り込むには、二人の間は少し狭い。邪魔をしないように隅に陣取るか、それとも二人には少し起きてもらって……。と考えつつ二人の寝顔を眺めていると、忘れ物を思い出した。
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