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    masasi9991

    @masasi9991

    妖怪ウォッチとFLOとRMXとSideMなど
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    masasi9991

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    デググラいちゃいちゃしてるだけ!

    ##デググラ

    退屈


     くわーっと大きく口を開いてあくびをしてしまったことまでは気がついた。なんだかこれはまずいぞ、と。しかしあくびとともに目を閉じた途端にもう、白くてふんわりとした気持ちのいい気分に飛び込んだ。
    「……んあ」
     覚えているのはそこまでだ。次に気がついたのは、自分の変な声にちょっと驚いた瞬間だ。
     なんだ? 驚きはしたものの、ふわふわした気分はそのまま。周りが見えないし、いい匂いがする。鼻をお花畑に突っ込んでいるみたいだ。
     なんちゃって。お花じゃないことはわかっているぞ。このサラサラでいい匂いの感じは、グランツの髪の毛だ!
    「お? ホワッ」
     いびき。いや、寝言。自分の二度目の寝言にびっくりして、今度こそ目が覚める。目の前いっぱいに青い色が広がって、慌てて顔を引き離した。
     うっかり寝てしまっていた! その上隣りに座っているグランツの頭に自分の頭を乗っけていた!
    「す、すまな」
    「シッ」
    「むむ?」
     慌てて謝ろうとしたら、グランツがこっちを見上げて唇に人差し指を当てている。ちょっとすぼめた唇がいかにも柔らかそうで、いいや実際に柔らかいのをおれは知っているがために。
     思わず吸い込まれるように顔をグランツの方に近づけた。
     お互いきれいだが窮屈でもある式典参加者用の椅子に座ったまま、おれは背中を丸めてグランツへと顔を近づけて、いよいよその唇に触れるぞ! という瞬間に。
    「ふっ」
     と小さな声でグランツが吹き出した。そのくすぐったい吐息におれの唇はくすぐられて、目が覚めた!
    「いくらなんでもここじゃダメだ。もう少し我慢しようぜ」
     それ以上笑うのを堪えつつ、囁き声でグランツが言う。
    「あ!」
     そういえば式典の最中だった! 居眠りをした瞬間に忘れていた!
     慌てて背筋を伸ばして前を見る。と、そこら中に座っている他の参加者もみんな船を漕いでいる。それかこっそりおしゃべりをしているか。
     後ろの方に座っていてよかった。グランツがいなければうっかりしてしまうところだった! いや? でもグランツがいなかったら、こんなうっかりはしていないか?
     グランツはついに我慢ができなくなったのか、隣で小声で笑いながら腹を抱えて丸くなっている。


    (了)
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