あまがみ お鼻がこちょこちょする。しかしそれもなんだか悪くない。それどころかそのこちょこちょ感がうれしいような、楽しいような、ドキドキするような。それにちょっと眠たくなる、が他の気持ちの方が勝ってこのフカフカのソファの上で寝落ちということだけは免れている、というような今日このごろなのだ。
ソファのフカフカに二人で座っているととても暖かいというのも、眠気を誘う。グランツがおれにぴったりくっついているのでさらに暖かい。そしてさらにもっとくっつくように、おれもグランツを抱き寄せる。グランツはその体勢でめいっぱい背伸びをして、おれの鼻をがじがじしている。いったいなぜだ? よくわからないが、いくら噛まれても痛くない。あまがみというやつだ。がじがじの途中にペロペロもしている。つまりそれがこちょこちょの正体だ。
グランツは楽しそうだし、おれは気持ちいいし、たいへんに申し分ない。しかしグランツががんばって背伸びをして、というのは少し申し訳ないな。おれが背をかがめると、今度はくっつきにくくなるし。
そうだグランツに膝の上に乗ってもらおう。思いついたらすぐにグランツのお尻と腰に失礼して、軽く持ち上げさせてもらう。おれの膝はソファよりは柔らかくないかもしれないが。
「ンッ……ァ、デグダス」
「ム? びっくりさせてしまったか?」
「んん、そういうワケじゃない」
グランツの柔らかい声が鼻のところから聞こえてくるのが、なんとも不思議な感覚だ。
あまがみでちょっと濡れてるせいかな。声と一緒に吹きかかった息で、ゾクゾクっと。背中の後ろの方からキてしまう。腰がちょっと、その、アレだ。膝に座ってもらったグランツにバレてしまったかもしれない。
「もしかしておれの鼻はおいしいのかな?」
「ああ」
喋ってごまかそうとしたところ、グランツはニコッと笑って頷いた。いやいやそんなワケじゃないと大笑いするかと思ったんだが。さらに鼻の頭にちゅーっとキスされる。
「あははっ。キミの鼻、赤くしてしまった。フフッ、かわいいけど……人に見られちゃまずいかな」
「おれの鼻はいつでもプリティーな赤鼻だぞ?」
「いつも通りだって? アハッ、そうだな」
ニコニコ、でもう一回ちゅー。さらにペロッと。
おれにはグランツのお鼻の方がおいしそうに見えるんだがなぁ。あとでお返しさせてもらおう!