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    masasi9991

    @masasi9991

    妖怪ウォッチとFLOとRMXとSideMなど
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    大やもりと土ガマの普通のバカバカしい日

    ##妖怪ウォッチ

    大やもりのとくになにもない日「ああ暇だなァ。これといってやることもねえし、やりたいことはあるが今はその時じゃねえし……だからといってこの今を無駄に過ごすってのも、なあ」
    「帰れ」
     あ。しまった、返事をしてしまった。今日は絶対にこいつのことは無視しようと心に決めていたのに。延々と話しかけてくるからつい反応してしまう。でもこれはオレの精神力とか決断力とか意思とかそういうのが弱いせいじゃない。近くでなんか喋ってる奴がいるってだけで、無視するのもエネルギーを使うんだ。
     こいつそこんとこわかってんのかな。わかってなさそう。何も考えてなさそう。
    「なあ、有意義な時間の潰し方ってモンは、ここにはねぇのか?」
     無視しよう。もう一度、決意を固める。
     ていうかオレの返事に返事をしろよ。
    「ゲームとか貸してくんねえ?」
    「触るな! やめろ! 触るな!」
    「ハァ。何回も叫ばなくてもわかってるよ。どうせ駄目だってわかってるから一応聞いただけだ」
    「聞くだけならいちいち触る意味無いだろ! マジで! もうそれ以上こっちに近づくな!」
    「キレすぎだろ。もう少し落ち着いて普通に会話しようぜ」
    「大ガマが帰れば話し合う必要なんかないんだよ!」
    「まあそりゃ、オレがなんの正当性もなくお前のとこに居座ってるのは事実だが」
    「だが? なんだよ」
     オレが問い返しても、すぐには答えない。
     なんだかさっきから無駄に間延びした喋り方しやがって、バカにされてる気分だ。ていうか絶対バカにしてる。大ガマは人を喰ったような奴なんだ。比喩的な意味で。
     実際人間なんか食べちゃいないだろうけど――でもさ、人間を食うやつと、人間を食ったような奴だったら、オレとしたら後者の方が圧倒的に嫌だ。更に考えると、人間を食うやつと、人間を食ったような奴の大ガマのどっちかがオレの家に居座るんだとしたら、圧倒的に後者の方が――ちょっと待って、どっちも嫌だ。オレの家にオレ以外が居座るな!
    「なあ、やもり」
    「……なに」
    「いや、一人でヘラヘラ笑ってたからどうしちまったのかなと思ってよ」
    「……は? 笑ってないけど……? ていうか怒りが頂点に達してストレス反応で笑ってた……かも?」
    「は? ソッチのほうがヤバそうだな。なんにもねえのに一人でキレてたの?」
    「なんにもじゃない! 大ガマに対してキレてるんだ!」
    「いやでも今の間さ、オレなんも喋ってなかったんだけど」
    「話しかけられたことに逐一怒ってるわけじゃない。じゃなくてその、大ガマのその、存在そのものに」
     とにかくそこに大ガマが勝手に居座ってるのが嫌なんだ。だって今日は大ガマが来るなんて聞いてなかったし、別にまともな用もなさそうだし、せめて来るなら事前に連絡しろっていうかまず家に来るなっていうか。ああもう言いたいことが多すぎて口が回らない。
    「やもりお前さ、声出したの久しぶりだろ」
    「ヘッ……? 急に何の話? 声ぐらいたまには出すけど……」
    「もう叫び疲れたみたいになってるからさ。顔の筋肉が衰えてんじゃねえか。最近は引きこもりのお前が誰かと喋ることあんの?」
    「あるよたまに」
    「誰と?」
    「え、し、知り合いとか……」
    「何で?」
    「ネット……の電話みたいなやつ」
    「ああ、そういうやつな。どんくらいの頻度で?」
    「一週間にいち、……三分の一ぐらいの確率で」
    「どういうこと? 月に一回ぐらい?」
    「あるかないかみたいな」
    「ふーん」
    「大ガマに個人情報取られるの嫌なんだけど……」
    「これぐらいが個人情報か? まあ悪かったよ、喋り慣れてねえ奴に一生懸命会話させちまって」
    「急に謝れるのもなんかな……やっぱバカにされてる気しかしないし。んまあ、まあいいけど……それで?」
    「ん?」
    「え?」
    「なに?」
    「なんかあって聞いたんじゃないの」
    「いや? 気になったから聞いただけ。意味とかねえけど」
    「バッ……。……バカじゃないの」
    「意味がねえのも会話の楽しさだろうが」
    「帰ってくんない? マジで」
    「おっ。おうわかった、帰るわ」
    「はぁー?」
     いやそんな急に物分り良くなるのおかしいでしょそれは。どうすりゃいいのこれ? どうもしなくていいのか別に。
    「さっき言っただろ、暇つぶしに来ただけなんだよ。待ち合わせの時間だからもう行くわ」
    「そんなの聞いてないけど」
    「そうだっけ? 言ってないかもしれねえな」
     あれ? でも聞いたような気もしてきた。濡れ衣かもしんない。いくら大ガマ相手でも無実の罪じゃん。
    「まあでも考えてみりゃお前に言った言わないなんてどうでもいいか」
    「は?」
     なんだこいつ、ほんと何? 大ガマって何?
    「あ、てことはこれも言ってねえか。オレこれからデートなんだよ。土蜘蛛と。いいだろ?」
    「どうでもいいわ!」
    「土蜘蛛さんと飯食いに行くっていうか、飯の食い方教えに行くっていうか。あいつ現代社会での店の入り方とか知らねえからさ。その分奢ってもらうってわけ」
    「世界で一番どうでもいい情報を聞いた」
    「お前、前もそういうこと言ってなかった? オレと会うたび世界一が更新されてんな」
    「帰れ!」
    「ハイハイ。あ、ヤバい遅れそう」
    「オレのせいにすんな!」
    「まだ何も言ってねえって」

    【了】
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