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    masasi9991

    @masasi9991

    妖怪ウォッチとFLOとRMXとSideMなど
    平和なのと燃えとエロと♡喘ぎとたまにグロとなんかよくわからないもの

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    masasi9991

    DONE土蜘蛛さんと大ガマさんとホラーっぽいもの
    車両内にて ふと気付いたら電車の中だった。ここはどこ? ――学校に行く途中、電車の中。私は誰? ――私は――私だ。別に疑う余地もない。いつもの私だ。名前も経歴も特にこれといっておかしいと感じるところはない。私は私。ここは電車の中。私はまるで今生まれたばかりのようにふと目を開いて、ふとここは一体どこなのか、今はいったいいつなのか、私は誰だったのか、と何もかもが初めてであるかのようなことを考えたけれど、どれもこれも答えは簡単だった。
     寝ぼけているみたいだ。きっとそう、お昼寝で熟睡しすぎてママに叩き起こされた夕方に似ている。どうして自分がここにいるのか、わからない。自分が何をしていたのかわからない。結果だけを目の当たりにしている感じ。耳に入れたイヤホンから好きな曲が流れている。この曲を初めて聞いたのはいつ――ずっと昔――今? いつスマホの再生ボタンを押したんだろう? ワイヤレスイヤホン、お小遣いで買うには高かった――どうして手に入れたんだっけ。おばあちゃんが――だったっけ。電車の揺れる音と音楽が混じっている。聞いた、ことがある、電車の音とこの曲の――そんなの考えたこと、あっただろうか。寄りかかった電車のドアのガラス窓に、私が映って、映って、映って、映って、これは誰?
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    DONE初夏の土ガマ初夏


     暑い日が続いている。若い者らはやれ扇風機だくうらあだとすぐに得体のしれない道具に頼りたがるが、暑くはあっても暦の上では未だ初夏。そのようなものがなくともまだ我慢ができるはずではないか。さしあたって伝統的に庭に打ち水、窓には風鈴、団扇を持って、涼むべきであろう。
     昨年、遅い夏の終わり、いつまでも縁側の軒先へ吊るしてあった風鈴は、どこへ片付けただろうか。ふと考えてみると思い出せぬ。とはいえそこの戸棚の奥にでも、仕舞ってあるに違いない。
     もう昼近くになるというのに灯りも付けぬままでいる寝床がそろそろ蒸し暑くなってくる。縁側の障子越しに入る陽が、暑いのだ。寝床は薄暗いままなのだが。障子を開いて、風鈴を吊るすべきであろう。風がいくらか吹き込めば変わるはずだ。急に思い立って寝床を出る。
     這って、出る。出ようとする。しかし、畳の上まで抜け出たところで、もう動けない。
    「どこへ行くんだよ。このおれを差し置いて」
    「どこへも行かぬ。ここは吾輩の座敷だ」
    「嘘をつけ」
     と、珍しく……そう、案外これには珍しく、きかん坊のような駄々をこねる。
     寝床を出ていこうとした足首を何かに掴まれ、そ 1008

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    DONEなにかと戦っていた土蜘蛛さんと大ガマさん 瞬きほどの間が、あったろうか。息を呑むほどにも長閑な場面でもなかったろう。しかし眼前に影が落ちた刹那に、己は瞬きを繰り返し、息の詰まるほどの焦燥を感じた。
     長く、長く感ぜられた刹那の合間、吾輩の前へ躍り出たその身体が引き裂かれ、真っ赤な血の弾け飛ぶまでのその刹那……そして次の瞬間には血なまぐさい匂いを胸いっぱいに吸い込み、腹の内より焔の如く沸き起こった衝動に任せ、己は術を放っていた。血を流し崩れ落ちる彼奴の身体を押しのけつつ。
    「感謝しろよ。今のは半分、おれの手柄だぜ」
     やがて四辺に静寂が訪れて、怒りを以って倒れ伏した顔を覗き込むと、先手を打ってそのようなことを言う。蒼白の顔で軽口を叩く。
     頼んだ覚えもない。見縊るな。そも、吾輩の前に出るなど思い上がりも甚だしい。
     最後の術を放ったときより胸に昂り続ける炎のままに、いくつか言葉が浮かんだものの、実際は口から出ずに引っ込んだ。
     彼奴め、言うだけ言ってスッと両目を閉じている。
     文句は引っ込んだというより喉に詰まって行き場をなくした。それより慌てて彼奴の隣へ膝をついた。
     切り裂かれ襤褸になった派手な小袖の胸元へ、手を差し伸べ 649

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    DONE世間話と膝枕の土ガマつらつらと 2021-05-26
    「で、それで見たこともねえ奴らが、ビルの上に居てよ……なんでオレのようなのをこんなとこまで呼び出した、って聞いたら両手合わせて拝み始めるんだよ。こいつは参ったなと、なにか勘違いしてやがると思ってこっちの事情を話してみようにも、ああいう奴らは聞く耳持たねえのなんのって……で面倒になって置いて帰っちまおうかとも思ったけど、まだ足は生えてるつもりらしくて、ほっぽっておいたら延々とここに居座って地縛霊にでもなるのかなとさ……」
    「ふむ、わからん。お主はいったい何の話をしておるのだ」
    「土蜘蛛さんが訊ねたんじゃねえか。あの庭に増えた石の話だよ」
    「持ち帰ったのか? 物好きな」
    「放っちゃおけないのが、どうもオレの性らしいや。ところがさ、連れ帰ったはいいものの、奴らみんな呪われてたんで……それで蛙にでも縋ろうってんで……まあ奴らオレが蛙とは知らんでいたらしくて……」
     話してる途中に眠くなってきて、あくびをひとつ、と寝返りを打とうとした。ところがこの枕があんまり広くもないモンだから、うっかり間に落っこちそうになる。
     枕の上に伸びた身体のてっぺんの、堅苦しっく据え 1821

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    DONEいつもの土ガマかくれんぼ


     どうせそんなところであろうと予測の通りであった。気配が感ぜられたなどといった理屈のあることではなく、予感と言えば聞こえはよかろうが、それすら些か言葉が上等過ぎる。どうせ、だ。呆れを含んだ慣れた感情である。どうせそんなところであろう。して全くその通りであり、その影を薄明るい蔵の中にみつけた瞬間に、一つため息すら漏れた。
    「あれ? いつ来たんだよ」
     地べたにあぐらをかいたそれが、振り返ってノンビリと言う。明るくよく弾む声は薄明るく静かな蔵のあちこちに跳ね回って響き、さながら泉のさざなみのようであった。止まった水面の透明なそこに、ぴょんと小さな蛙が飛び込んで、沸き立たせたような。
    「吾輩の気配にも気付かぬほど、宝を物色するのに夢中になっておったのか」
    「いつまで経ってもあんたが来ねえから、今日はどこかにお出かけかと思って油断しちまった。随分遅かったじゃねえか。そっちこそ、おれが来たのに気付かないなんてな」
    「わざと忍んで来たのではないのか」
    「それでもあんたはどうせ気付いてくれると思ってさ」
    「曲者が入り込んだことには気付いてはおったが、どうせお主であろうから急ぐこともな 1400

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    DONE事後の土ガマ仕返し、甘噛


     よくある話だが、こういうときにそそくさと寝床を出て身支度を始める野郎というのはまったく薄情だ。寝床に横たわったまま、ぼんやりとその背中を眺めながら考える。見慣れたもんじゃある。だから今更、薄情者めと本気で恨んでいるわけじゃない。がしかし、薄情な野郎だとは思う。おそらく生来の意地っ張りのために、そんな素振りを見せているんだろう。つまり己の未練を見せるのが恥ずかしいってことだ。別に当人がそんなことを白状したわけではないが、おれはちょっと奴には詳しいから、きっとそうだとわかっている。
    「土蜘蛛」
     すっかり身支度を終えちまう前に、着物を羽織ったその背中を何とはなしに呼んでやる。
    「まだ帰るなよ。寂しいぜ」
     引き止めりゃ歓ぶだろう。歓ばせてやるのは、やぶさかではない。引き止められたくて薄情なフリをしているのかと思えば、可愛い野郎だとも思う。面倒な野郎でもあるが。
     なんも言われずともそこに寝てりゃいいだろうに。
     本音をいえばそうだけど、言えば喧嘩になるし、喧嘩をするほどの余力も残っちゃいない。
     ふっと奴は振り返る。もったいぶって、時間をかける。傷跡の浮いた背中は生白い 2165

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    DONE土蜘蛛さんと小さい大ガマさんぼうぜんと


     座敷の真ん中に座布団も敷かずに座って、少しも動こうとしなかった。
    「おおい、つちぐも」
     なんだか事情がありそうな雰囲気だが、そんなのおれの知ったことじゃない。おれは土蜘蛛に用がある。だからいつものように、天井裏の梁からその脳天向かって声をかけた。
     が、やっぱり動こうともしない。
     いんやほんとを言うと、ちょっと動いた。おれに呼ばれたのはちゃんと聞こえたらしく、その瞬間にぴくり、と。しかし返事をしない。腕組んだまま。上から見える白い額に、しかめっ面のシワが浮かんでいるのが見える。
     ということは聞こえておきながら無視を決め込んでいるってえことだ。
    「つちぐも。おい、つちぐもってば」
     何度呼んでも腕組みのまま。このやろう。
    「わかったよ。もういい」
     おれは一人でへそを曲げて、梁をつたって屋根の上へ戻る。
     と見せかけて。
    「それっ」
     天井の端から勢いよくぴょんと跳んだ。じっとしていて隙だらけの、間抜けな後頭に狙いを付けて。
     目にも留まらぬ蛙のするどい飛び蹴りを、そのどたまに食らわせてやる!
    「やめんか!」
     ところがそれも読まれていて、土蜘蛛のやつ、ひょいと首 1782

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    DONE合戦してる頃の土ガマ鍔迫心中論


     鮮血の色は人と変わらぬ赫であった。
     生白い、そして柔らかい肌を裂くと、夥しくそれは飛び散った。我が身に降り注ぐそれは、夜半の雨のように冷たい。
     思いの外、柔らかな手応えだった。手に残る感触に呆気に取られる。血の赫さに目がくらむ。降り注ぐ冷たさに息を呑む。わずかの油断に、足場を失った。
     蜘蛛の糸が切れた――油断に、我が妖気が弱まったためか、それとも、糸に切れ目が――いつの間にか入っていたのか――入れられていたのか――蜘蛛の身は縋る足場を失い、宙から落ちた。
     真下は水面であった。吾輩が先に水底へ落ちた。その上に追って鮮血が降り注いだ。清冷な湧き水に赫が交じる。波打って、交わる。透明な赫の影が我が身の上に落ちる。息ができぬ。息が詰まる。吐いたものが泡となって水面へ登る。鮮血と入れ違いに。
     どうした、まだ、吾輩は息をしているようだ。こんな妖怪となった今でも。そして息を詰め、苦痛を覚えている。
     しかし次には、あれが落ちてくるであろう。腹を裂かれ、鮮血を吹き出させた、あれだ……。道連れだ。或いは相討ちだ。思っていたよりも手応えがなかった。あの肌と肉は柔らかだった。
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    DONE土蜘蛛さんと大ガマさんと巻き込まれる大やもりさん血だるまで火だるまで災難


     うわ鼻血出てる。
     うららかな午後の日差しに大ガマの鼻血は全く心臓に良くない。しかしぎょっとして目を逸らした先にも、血が点々と……いや、そんな生易しい量じゃない。おびただしい量の血を垂れ流し、庭に血痕を引きずりながらこっちに歩いてくる。
     咄嗟に目を逸らしたけど、正解は『このまま何事もなかったかのように帰宅』だったかもしれない。
    「お、大やもり」
     声をかけられてからではもう遅い。おれはカモネギだ。
    「なに、やってんの」
    「そりゃこっちのセリフだよ」
     鼻血を手の甲で擦りながら喋るから何を言ってるのか聞き取りづらい。よく見ると顔もボコボコに腫れてるし、大ガマの声が変なのは鼻血だけのせいじゃないのかも。
    「いやおれは別に頼まれたもの持ってきただけなんだけど。いや大ガマに頼まれたやつじゃないから。ただの通りすがり」
    「いや、が多いな。なんでもかんでも否定から入るんじゃねえぞ。どんどんめんどくせえ奴になる」
     喋る途中で横を向いたかと思うと庭の池に向かってプッと唾を吐いた。唾というかほとんど血の塊。汚……見たくなくてまた目線を逸らす。こいつ人んちで何やってんだ 2669

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    DONE土ガマ 都々逸そのまんま膝枕させて辺りを見まわし そっと水を含んで口移し


     閉じたまぶたを透かして見える、八間行灯の淡いまぶしさに影がかかる。ぼんやりとした輪郭は馴染みの形だ。
     影は、近づく。ふわりと花か、蕾か、新緑か、霧の深い野山にでも放たれたかのような香りが微かに漂う。
     薄目を開けて驚かせてやろうか。少しばかり悪ふざけが頭に浮かんだものの、枕にした脚があまりに心地がよいので、瞼を持ち上げるのにも一苦労。などと夢うつつの一人相撲をしている間に、唇に柔らかなものが押し当てられる。
     少しばかり熱い。生ぬるい。さらにぬるい、ぬるぬる濡れた舌に唇をこじ開けられ、冷たい雫を流し込まれる。飲み込めば熱に浮かされた身体の芯が、スゥーと心地よく冷えた。
     で、観念して瞼を開く。
    「起きたのかい?」
     行灯の淡い炎の眩しさよりも眩しい、青白い肌がすぐに目に入る。その瞳は赤い。吾輩に口移しに水を飲ませた唇もまた赤い。膝に乗せた吾輩の顔を見下ろし、静かに笑っている。
     遠くに宴席の騒がしさが聞こえている。同じ座敷のことであろうに、寝惚けか酔いか、因はどちらかわからぬけれども、聞こえてくるのはまるで別な世界のことのようだ 711

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    DONE土蜘蛛さんと小さい大ガマさん出会ったばっかりの頃居候


     さてその姿になってから、幾日か過ぎた。
     これが見た目の通り只の大蛙ではなく、妖怪か、はたまた別の何かであるのか、それについては薄々感ぜられていたことではあるけれども、あの日このような姿に変わってからは疑いようもなくなった。
     妖怪である。人の子の姿に化ける。どこにでも居るものではないが、驚くほど珍しいというわけでもない。化け蛙だ。
     正体がわかれば不思議でもない。得体の知れぬ蛙にいつまでも居座られるのはどうにもこうにも納得がいかぬものであったが、こちらと同じ妖怪となれば少しは気が許せる。
     とはいえまだ幼いこれには、小難しい話も通りそうにないが。
     しかし、突如として人に化けたものだから、未だこちらが慣れぬ。当人はまだ蛙のつもりらしく、朝起きると吾輩の額の上に腹を乗せて寝ていたりする。それが只の大蛙であるならヒンヤリとするだけで大した問題でもない。しかし実際は、五つか六つか、そのくらいの童の姿なのである。ズシリと重い。鼻も口も息が詰まる。目を開けようにも開けられない。寝惚けながら振り落とし、起き上がってみると見慣れぬ童が、まんじゅうのように丸まって座敷の上に転がっている。 1374