大きさの差「うーん、それじゃ少し小さすぎるんじゃないか」
「そうかな? 充分でっかくしてるつもりなんだが」
「いやいやまだまだ、おまえはそんなものじゃないはずだ!」
「んふっふっふっふっふ、そんなに期待をかけられてしまうと……アハハっ。期待ってのは違うか」
「当たらずとも遠かわず……だ! 大きいに越したことはない。おれも大きいほうが大好きだ!」
「あはっ、正しくは遠からず、だな」
「ん? カラスだったか?」
「ふっふっふ。確かにキミのは見事な大きさだ。相変わらずでっかいな! そんなサイズ、おれに入るかどうか」
「ンむふっ、まあ自慢ではないが、大きさには自信がございます!」
「ふふっ。キミは手もデカいしな」
「あ! そうかわかったぞ! ではおれがグランツに貸してあげようじゃないかこの手を! つまり、おれがグランツに、でっかいおにぎりを作ってやろう!」
「いいのか? ふふ、今日のおれの弁当はキミのでっかい手で作ったでっかいおにぎりか。お手柔らかに頼むぜ」
「なるほど柔らかめのおにぎりが好みだったか……力いっぱい握ってしまう癖を鎮めなければ。クッ鎮まってくださいおれの拳よ!」
「じゃあお返しにおれがキミの分のおにぎりを作ろう。これと、もう一個」
「んん!? 今日のお昼は二個も食べていいのですか!?」
「いーや三個だぜ。ほら、キミがさっき作ったでっかいのもあるじゃないか」
「本当だ! なんということだ、こんなにたくさんのおいしそうなおにぎり……考えただけでお腹いっぱいで眠たくなってきた! 今日の採掘は、お昼寝の時間も取り入れよう」
「そいつは名案だ! 今日は天気も良さそうだし、昼寝日和に違いない」
「確か山頂にお昼寝に良さそうな場所があったな。お弁当もそこにしよう!」
「ちょっと遠いが、そのあたりに気になる鉱脈もあったし一石二鳥だ」
「出かけるのが実に楽しみだな!」
「ああ。ところで、キミのおにぎりはこのぐらいの大きさでいいか?」
「むっ? うーむ、も、もう少しだけ大きいほうが……少しだけ。欲張っているわけではありませんが、あと二周りほど気持ちぐらいに」
「あっはっは、これでもまだキミの胃袋には小さかったか!」