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    masasi9991

    @masasi9991

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    一緒に暮らし始めて初日のデググラ

    ##デググラ

    ぶかぶか キミは身体が大きいし、力も強いから、家の中にいても足音が結構響いて聞こえる。どすんどすん。乱暴な歩き方というわけじゃなく、しっかり床を踏みしめているような足音。それにドアを開けるときの音も大きい。もちろんそれも乱暴な音というわけでもなくて――いや、もしかしたらおれがキミの出す音とか仕草とか、覚えすぎてるからそう感じるのかもしれない。これまで一緒に住んでいたというわけでもないのに。
     だけど今は、ドアが開かれるまで全く気が付かなかった。夢中になりすぎてたんだ。
    「わっ」
     急な物音に驚いて、後を振り向くとキミがぽかんと口を開いて立っている。
    「で、デグダス……これは、その」
     なんとか言い逃れのようなものを考えなければ、と思うけど全く一つも考えつかない。
     勝手にキミの服を着てることへの上手な言い訳なんてあるわけがない! 少なくともおれには思いつかない。だって百パーセントの下心だし。
     魔が差した。そのタンスにキミの服がしまわれてるって思ったら……。キミがいない間に、ブカブカのシャツに袖を通して、サイズの差に悦に浸ってたとか知られ……見られたのは、恥ずかしすぎる! 気味悪がられるかもしれない!
     パニックと羞恥で上がっていた体温が、最終的な推測に至って即座にサッと冷たくなった。
     多分一秒とか二秒くらいの短い間だ。その間、キミはぽかんとしていたままだった。
     ……が、すぐに大きく吹き出した。
    「わっはっはっはっは! おまえのうっかりは珍しいな!」
    「え? な、何だって?」
    「おれの服を間違えて着てしまうなんて……わっはっはっはっはっは! そんなこともあるんだな!」
    「……ふ、あははははっ!」
     そんな勘違い、おれにとって都合が良すぎないか! これは全くうっかりでも何でもないんだ、とおれは口の中でゴニョゴニョと呟いた。そんなつもりだったが、それより笑ってるキミにつられて吹き出してしまった。
     まだ冷や汗が吹き出している気もするが。うまくごまかせたという安堵と、そんな安堵を感じてる下心への後ろめたさと。ほとんど誤魔化し笑い。
     しかしおれの後ろめたさなんか関係なしに、キミは実直に大笑いして、それからムムと首をひねった。
    「うーむ、しかしこれから一緒に住むとなると、またこんなうっかりが起きる可能性があるな。盲点だった! 明日にはおれがうっかりおまえの服を着てしまうかもしれない!」
    「おれは別にキミがおれの服を着ても構わないぜ。サイズが違うから、きっとキミは途中で気付くだろうし」
    「ン。それもそうか。そう考えるとおれの服だってグランツが着ても困ることはないわけだ。大は小を兼ねると言うものな!」
    「あはっ、あっはっはっはっは!」
     おれが腹を抱えて笑うのを見て、キミはうんうんとうなずく。キミの今の発言はまったくうっかりでもないけれど、なんだか楽しい気分で、笑うのが止められない。
     どうしてこんなに笑ってしまっているのか、自分でも不思議なくらい。だけどキミは不思議でも何でもなさそうだ。
     それがまた嬉しい――そうか、おれは嬉しくてこんなに笑ってしまっているのか。キミが自然に受け止めてくれたことが。こんな笑い方もあるのか!
     一緒に暮らし始めてすぐの日に、またキミに大事なことを教わった。やっぱりキミはすごい男だ。
     ……それはそれとして、「うっかり着てしまったキミの服」を、これから脱いでキミに返すという行動についての考えが頭に過ぎって、また冷や汗――いや、熱くなってきたから冷や汗ではないかもしれない。ともかく変な汗が滲んできた。
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