かわいいチョコレート 2「あっ! おれのチョコレート!」
「あっはっはっは。キミももう仕事終わりか?」
「うん、そうだ。どうした、おれのチョコレート。今日は一段とニコニコだな。採掘でいいものでも見つかったのか?」
「いやぁ、あははっ。キミの顔を見ると嬉しくなってしまって。今日に始まったことじゃないけどな!」
「そういえば今朝も昨日も一昨日もおれのチョコレートは笑顔だったなぁ」
「ふっふっふ。キミのおかげでね」
「ムフフそれほどでも!」
なんて他愛のない話をしていると、キミの隣にいたロックが「あー……」と何かに気付いたようにうなずいた。
「兄ちゃんのそのチョコレートっていうの、グランツさんのことなのか。なんで朝からずっとオヤツを要求してるんだろって思ってた。しかもすごく偉そうに」
「ん? ……ふっ、あっはっはっはっはっは! そういうことか。確かに、そんなふうに聞こえるかもな!」
「聞こえるっていうか……どっちにしろ傍から見たらかなり恥ずかしいんですけど」
「昨日がバレンタインだったからな」
「その説明いる?」
「うん? うん? どういうことだ? ロッタナとグランツはいったい何の話をしているんだ? あっ間違えた、おれのチョコレートだった!」
「それはもういいよそういうの家でやって。それから、おれがロックでこっちがロッタナ」
「そうだそうだ、そうだった。そしてこちらがおれのチョコレートのグランツ」
「そうなるとデグダスは……クッキーちゃんかな」
「は!? グランツさんどうしたの!?」
「おれだけあだ名ってのも変じゃないか?」
「おれが……クッキーちゃん……!?」
「いやいやいやいや」
「……デグダスにーちゃんがクッキーって、ちょっとわかるかも」
「そうだろ? イメージにぴったりだ」
「ロッタナも何言ってんの!?」
「そんなにおれはクッキーちゃんだったのか! うーん知らなかった。しかしそうとわかったからには、これからはご遠慮なくおれのことはクッキーちゃんと」
「アタシは呼ばないよ! 呼ぶわけないじゃん!」
「そんなっ! ろ、ロック! わが弟よ!」
「呼ぶわけないでしょ」
「それじゃあキミのことクッキーちゃんと呼ぶのはおれだけみたいだな」
「どうやらそうらしい。ムムムム、おまえだけが頼りだ。おれの……チョコレート!」
「クッキーちゃん♡ あははははは!」
「だからせめて家でやってって……」