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    masasi9991

    @masasi9991

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    masasi9991

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    おはようの前の道タケ漣

    ##道タケ漣

    丸まってる

     寒くなってきた。そりゃそうだ。真ん中で寝てた円城寺さんが起きちまったからだ。
     朝だ……。わかってるけど、起きたくない。寒い。温度を求めて布団に潜って、円城寺さんが寝てた方にもぞもぞと移動する。まだ熱が残ってくれてればいいんだが。円城寺さんが起きたのは結構前だった気がするから希望は薄い……とまだちょっと寝てる頭で考えていたが、意外にそこはあたたかかった。
     まだ体温がある。円城寺さん、戻ってきたのか? そんなわけないか。……じゃあアイツだな。アイツ、あっちの布団で寝てたんじゃないのか。すぐそこに居るっぽい。
     目を開けりゃ正解はわかるだろうけど、目を開けるにはまだ眠い。寒くないなら別にコイツでもいいか……コイツも体温高いし……。頭ん中、眠気がまた広がってきた。円城寺さんの布団まで移動してきたときと同じように、手探りでコイツの身体に手を伸ばす。身体……多分ここが腰、背中、……腕がねぇな……?
     そう思ってると、コイツの腕が乱暴に俺の背中を掴んだ。で、抱き寄せられる。起きてんのか? それとも寝ぼけてんのか?
     腕の中に抱え込まれて至近距離から寝息が聞こえた。寝てるらしい。寝息、うるせぇけど。
     まあいいか。寝れねえほどの騒音ってワケじゃない。むしろつられてもっと眠くなってきた。あったかいし。目的果たしたんだから一緒だ。円城寺さん起こしに来るまでまだ寝れるな。



    会議中

    「そろそろ、円城寺さん来るよな……」
     チビが布団の中でボソボソ喋っている。起きてるけど、寝てるみてーな目で。オレ様の目の前で丸くなってるチビは、ちょっと前からそういう顔だ。それで眩しそうに時々瞬きする。
    「ああ」
     なんとなくうなずいた。チビの顔がちょっと上を向く。鼻と鼻がぶつかりそうになった。
     くすぐってぇ、と思ったが動くのはメンドクセーからどうもしねえ。それより瞬きがうつった。布団かぶってても眩しい気がする。朝だし、台所んとこでらーめん屋がごちゃごちゃ動いてる気配がするし。
    「どーやって追い返してやろう」
    「腹減ってねえのか?」
    「さみぃし眠い」
     チビとこうやってりゃ寒くはねーけど、布団の外が寒いっつーのはわかっている。さっきらーめん屋が起きたとき、布団がめくれて寒かった。で、そのままらーめん屋が布団から出てっちまったから寝てるオレ様はどんどん寒くなるし。冬のらーめん屋は暖房みてーなモンだ。だってのに朝早く起きやがるから、しょうがなくチビで暖を取ってやってる。
     ガキは体温が高いらしい。チビはガキだから、ぬくい。そこは悪くねェ。チビもおとなしくしてやがる。
    「何笑ってんだ」
    「ん? いや俺も起きたくねーって思ってただけだ。……円城寺さんも二度寝したらいいのに」
    「へえ、いい考えじゃねーか! ノコノコ起こしに来たららーめん屋も布団に引きずり込んでやるぜ」
    「オマエそれ……いいな。でもあんま暴れんなよ。あと、静かにな」
    「んなことチビに言われるまでもねェ」
     とはいえチビがさっき言った通り、そろそろらーめん屋が起こしに来る時間だ。らーめん屋の気配は相変わらず台所の方。この部屋からドア一枚向こうだ。こんぐらい小声ならチビと喋ってんのもバレてねーだろうが、らーめん屋は鋭いからな。
     声を抑えるために目の前のチビを抱きかかえて布団の中でさらに丸くなる。ぬくい。
     眠くはなくなってきたが、さみぃのにこっから出たくねー。らーめん屋が戻ってきたらもっとあったかくなるはずだ。早く来い。



    簡単な起こし方

    「それで……今日はそうまでして布団から出たくないって?」
    「……その、子供っぽかったかな」
     起きたばかりでいつもよりふくふくと丸い顔、少し寝癖がついてあちこち乱れた髪で、タケルがちょっと恥ずかしそうにそう言った。頬はまるっこいだけじゃなく、寝起きで体温が高いせいかほんのりピンク色だ。
     かわいいな。と口に出してしまうと自分の心が甘やかす方にぐらっと傾いてしまいそうだから、どうにかそれを飲み込んだ。
     代わりに寝癖の付いた前髪を指先でくすぐる。するとくすぐったそうに目を細めた。かわいい。……口に出すのを我慢したのは、大した意味もないかもしれない。
     だが自分はタケルと漣を起こしに来たのであって、一緒に布団に入ってじゃれあってる場合じゃない。
    「で、漣もか。そうしてると重いだろう? いい加減起きたくなったんじゃないか?」
    「らーめん屋の体重ぐらいオレ様にはヨユーだし」
     自分の下敷きになっている漣の声が、胸のあたりから聞こえる。自分だって漣を下敷きになんてしたくはないんだが、当の漣が下からがっちり両手両足でしがみついているから不可抗力だ。漣の身体も寝起きのせいか、いつもより熱い。
    「毛布よこせ、らーめん屋」
    「それこそ漣が離してくれないと無理だな」
     二人が自分の布団で丸くなっている――と思って布団をめくったらこの有様だ。先に布団から顔を出したタケルを起こそうとしたら、隣で丸まっていた漣が急に起きて自分に飛びついてきた。かくて朝からドタバタと捕まってしまったというわけだ。
     二人とも既に起きて何やら話をしているようだとは思ったものの……まさか仲良くこんなことを企んでいたとは。布団の中で二人がヒソヒソと内緒話をしていたその様子を思い浮かべると頬が緩む。
     おっと。また甘やかしたくなるところだった。自分はタケルと漣を起こしに来たんだ。いくら今日が休日だからといって、朝にはちゃんと起きて朝食を食べてもらいたい。育ち盛りなんだからな。
    「ぜってー離してやらねェぞ。らーめん屋がいねーとさみぃんだよ!」
    「いいな……俺も」
     漣が何やらかわいいことを言っている。タケルももぞもぞと近づいてくる。そうしてタケルは自分の肩にそっと額を押し当てて、控えめに寄り添った。
    「円城寺さんも二度寝しよう」
     それは魅力的な誘惑だ。自分にしがみついている二人も、二人の体温がうつった布団も暖かくて、たまらない。が。
    「そうはいかない。さ、起きて着替えて顔洗って、飯食ったら寒くなくなるぞ」
    「めんどくせー」
    「腹は減ってるんだろ」
    「ん……」
     タケルが迷っている様子で相槌を打つ。たまにはワガママを言うことだってあるにせよ、二人とも根がいい子だ。そのうち観念してくれるだろうってことはよくわかっている。
    「ここに朝飯持って来い」
    「布団で飯を食うって? それはダメに決まってるだろう」
    「オマエな……」
     しかし今朝はこの寒さのせいか、いつもよりもワガママが長引いている。これはちょっとした実力行使が必要か?
    「よし。漣がそのつもりなら、こっちにも考えがある」
    「アアン? ……あっ、くはははは! ッ、ヘンなところ触んな!」
    「いい加減起きて自分から離れればいいだけだぞ」
    「ふっざけんな、ッは、らーめん屋重てーんだよ!」
    「え、円城寺さん?」
     成り行きに驚いて目を丸くしたタケルが身動ぎして逃げようとする。だがその前に片手伸ばして腰を掴んで抱き寄せた。そしてそのまま脇腹を。漣は脇の下のあたりを続行だ。両手でそれぞれの弱いところを――いや、我ながら器用だと感心する。
    「ふっ、あは、あはははは! 円城寺さん、んんッ、俺、もう起きるからっ」
    「は、な、せ! んんんんんんふぅうっ、クソッらーめん屋ァ、〜〜〜〜〜ンンッっ」
     タケルが自分の腕にしがみつき、脇腹に触れる指を振り払おうとする。が、一度笑いだしてしまったからうまく力が入らないらしい。
     漣も自分の下でもがいているが、この姿勢だとどう考えても自分に分がある。はっきり言って無駄な抵抗だ。声を立てて笑うのを我慢しているのか自分の下で唸りながらプルプル震えている。
    「起きる気になったか?」
     というわけでひとしきりくすぐってから手を止めると、かなり効いたのか漣の腕と足から力が抜けていた。
     やっと開放されて上体を起こし、布団に腕をついてタケルと漣の顔を見下ろす。二人とも笑いすぎて頬がすっかり紅潮している。それどころか目元に涙まで滲んで……やりすぎたか?
    「円城寺さん……俺もう起きるって、言ったのに」
    「ぜってー許さねェぞ、らーめん屋……」
     息も絶え絶えで訴えてくる二人分の目に変な気分が込み上げてくる。こんな朝っぱらから? 一体何をやっているんだ自分は!
    「よし! それじゃ自分は朝飯の準備に戻るからな!」
     自分のしでかしたことに勝手に焦って、布団から飛び出てあまり二人の方を見ないようにして台所に戻った。
     タケルも漣もそんな気はないだろうに、一人で盛り上がって自分は……かなり、恥ずかしい。頭を抱えながら味噌汁の鍋を火にかける。
    「オイらーめん屋! 逃げんなコラ!」
    「待てオマエ、布団畳むの手伝え」
     ……とりあえず起こすのには成功したようだ。ただ自分が落ち着くまで、台所には来ないでくれると助かる。
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