5年前と5年後の君へ目を覚ますと、そこは見慣れない内装の寝室。
昨日は、アスティカシア高等専門学校の、寮の自室で眠りについたはずだ。このベッドは質の良い柔らかさで、拘って選んだことが伺える。寮のベッドでないことは間違いない。
誘拐か?とも考えたが、待遇が良すぎる。
それに、隣には、俺の異母弟。何故か全裸で、俺を抱えたまま、幸せそうな長尾でぐっすりと眠っている。
ん??
昨日、俺、ラウダと一緒に寝たか?
疑問は山ほどあるが、こうしていても仕方がない。弟が俺の味方であることは明確なので、とりあえず声をかける。
「おいラウダ!起きろ!!」
「んん……せっかく休暇を取ったのだから、もっと寝ていても良いんだよ……。」
ラウダは目を開きもしないで、俺を再び抱き込んで健やかな寝息を立て始めた。素肌で触れ合ったところが温かくて一瞬微睡むが、「いや、駄目だ!」と自分を奮い起こして、ラウダの肩を揺する。
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