予定の1時間も前に待ち合わせ場所に着いちゃって、どうやって時間を潰そうかなんて考えながらスマホを尻ポケットから取り出そうとした俺は、待ち合わせ場所近くのベンチに座っている色素の薄い髪の男に気がついた。
「早…⁉︎ まじかよ…まだ1時間もあるし…」
座ってても高身長なのがわかる。あれは紛れもなく宮地サン。気持ちの良い風がそよそよと吹いて、薄茶の柔らかそうな髪が緩やかに揺れていた。あんな風にムボウビにベンチに座ってたらいかがわしいスカウトなんかに捕まんねーのかな、なんて考えながら、俺はゆっくり後ろからキャラメルリボンのような頭の宮地サンに近付いてった。遅い!なんて怒鳴られて一発殴られるのを覚悟しながら(相当理不尽だ)、恐る恐る声をかけた。
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