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    aya_tugu

    @aya_tugu

    ポイピクはリべ小説って形を取っています(仮)
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    aya_tugu

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    地獄のしんおみ設定小話 ※地獄のしんおみメモを前提にしています

    【真昼の月】男がその言葉を言った瞬間、全てがどうでもよくなった。
    気に入ってるキャバ嬢も返済を迫る黒服も。

    手を握って傍にいてくれ、と泣いたのだ。
    過去の栄光を忘れられず、落ちぶれていくオレに。

    掴まれた手を握り返すと抱きしめられた。
    抱きしめ返せば更に強く抱きしめ返された。

    雨に濡れた身体は二人とも同じくらい冷えていて、持っていた熱を分け与えるようにキスをした。

    **

    「ーっつい」
    「うるせぇ。知ってる」

    「あ、アイス一つしかねぇ。半分こしよ」
    「って棒アイスだろ。どうやって分けンだ──」
    「こう」
    「ンッ! ──冷てぇだろ!」
    「ン~冷てぇ。ほら、溶けるぞ。早く次の一口」
    「はー、バカらしい」
    「いーじゃん。バカップルみたいで」
    「バカでカップルなのが問題なんだよ」

    「もっと、バカップルしよーぜ」
    「はぁ、……いーよ」

    ささくれだった畳に押し倒されながらキスを受け入れる。

    「真……窓、閉めろ」
    「ハァ? 正気か? エアコンも無いのに窓閉めたらオレ達死ぬぞ」
    「でも、声が、ぅ、アッ」
    「セミの声うるせぇし、隣は涼みに外に出てるよ。大丈夫だって」
    「あっ、あっ…~~ッ!」
    「Tシャツ咥えなくても平気なのに。──でも、興奮するよな」

    真は汗を拭いながら、ガキの頃と変わらない笑顔で歯を見せた。


    ****


    男がその言葉を言った瞬間、あの時を思い出していた。
    自分の立場と周りの仲間も忘れて。

    手を握って傍にいてくれ、と泣いている。
    もうどうしようもないほど、落ちぶれたオレに。

    掴まれた手は握り返さなかった。
    抱きしめようとする腕を強く振り払った。

    雨に濡れた二人の冷え切った身体が離れていく。持っている熱を分かち合うことはなかった。

    **

    車から降ろされるとビル街でもセミの合唱が聞こえた。
    蒸し暑さは昔とは比べられないほど酷いのに元気なことだ。

    「──セミが、鳴いてるな」
    「ああ? 夏だからなー」
    「オイ、真ちゃん待たせンな」
    「分かってる」
    「……暴れると、オマエも危ないから」
    「………」

    まるで処刑場に連行される囚人だった。
    まるで、ではなく、今のオレの立場はそんなモンだろう。

    組長が殺され、舎弟を人質に取られた若頭が敵のボスの前に連れてこられる。
    オレもあの人のように真に殺されるのか。それは別にいい。だが優しい真の手を煩わせたくはなかった。

    「二人にしてくれ」
    「……分かった」

    二人が心配そうに部屋を出て行く。相変わらずイイヤツらだ。
    処刑場には豪奢な部屋だと思っていたが、真がソファーの上でくつろぐ様は実家でくつろぐ姿に似ていた。
    そこに座れよ、とオレの定位置を見る姿も。違和感を見ない振りして静かに腰を下ろす。

    「オマエがウチにくれば、オレ達は手を引く」
    「オマエの組織に行ってオレは何すりゃいい? オレ達の組はそこそこ古いが影響力は──」

    死んだあの人──組長から組を頼む、と遺言を受け取った以上、組を守らなきゃならねぇ。
    だが、義理人情が強かったあの人の舎弟が弔い合戦も出来ずに下につくなんて無理だ。

    「オレの傍にいればいい。他は何もしなくていい」

    どうする。どうして。オレはあの人の横にいただけで、今も昔も何の才能も無い凡人なのに。

    「………」
    「じゃあ組を潰す。構成員も──ケイスケも殺す」

    思わず立ち上がって真に詰め寄る。

    「ッ! どうしちまったんだ! 真、オマエそんな──」
    「どうかしたのはオマエだろ! オレを置いて、別の男のとこ行って……」
    「オマエ、まさか……オレの為に反社になったのか!?」
    「そうだよ。カタギのままじゃ、オマエが戻ってこないから」
    「バカ野郎ッ!」
    「バカでいいよ。武臣が戻ってくるなら」
    「──ッ」

    毛足の長いカーペットに押し倒されながら、あの夏を思い出していた。

    「武臣覚えてる? 昔さ、クソ暑いのに恥ずかしがって窓閉めてって言ってたじゃん」
    「あっ、あぁッ、ン、…ぁ…」
    「ホントはオマエの舎弟にも声聞かせてオレのヨメだって教えてやりたいけど──」
    「やめろっ! やめてくれ!」
    「ははっ!──しねぇよ。オマエの声もオレのモンだから」

    窓が嵌め殺しで震えるほど冷房が効いた部屋。防音が行き届いてセミの鳴き声一つ届かない。
    白髪の方が多い黒髪、頬は痩せこけて目元は濃い隈。熱を孕んでいるのに氷のように冷酷な声。
    身体を暴くのは苦しげな笑顔。

    目を閉じて思う────あの夏の日の真に会いたかった。


    ※※※※
    タイトルは音速ラインの真昼の月より

    太陽のような男が真昼の月のような弱々しい姿になっていたら衝撃だろうな、と。
    自分一人で輝ける太陽タイプだけど孤独で傍で月が回っているから精神安定しているタイプが好きです(突然の告白)

    とはいえ、みんなを照らす太陽のような男っぽいけど、優しくて受け入れてくれる真は真ん丸お月さまみたいだよね。
    そんな男が真昼の月のように細く儚くなっていたら衝撃だろうな、と(大事なことなので二回)

    落ちぶれる前だったので生活は苦しいが地道に返済が出来た(エアコン無しのボロアパート、1食もやし生活)
    臣が外回り営業とか似合わねーのでSSモーターズでは電話対応と経理事務やってて。無駄に電話するよ。私(やめろ)

    雨の日に何かを感じて探し回っていた真が臣と偶然再会するが、既に覚悟を決めてる反社臣はカタギの真を突き放す。
    しばらくして真が臣を”取り戻す”にはカタギじゃ駄目だ、と気がつく(狂気によるアイディア成功)(正気値はゴミ)
    再会時の臣は只の構成員。真似の若頭の兄貴に気に入られ補佐の立場くらい。ブラフマンの運営をみるに、多分昇進は早いと思う。
    ただ、義理堅い兄貴がいる組なのでシノギはそこそこ。規模はそれほどデカくないし、特筆した武力もないので保守的かもしれない。

    雨の日に別れたしんおみが再び会うのは抗争後。巨悪になった真と組の若頭になった臣の再会。
    マイが巨悪になったことは知っていた。真がボスだとは知らなかった。
    二人は気に掛けるが、組のこともあるし慎重に調べていた。

    突然始まった抗争は分断されて真(とマイキー)に組長(=兄貴)が他の舎弟と一緒に殺される。臣のところにはワカベンが来て制圧された。
    ワカの携帯で真と会話する臣。
    真「組長がオマエに遺言残してたぜ。組を頼むって」(実際は「組を頼むこと」と「臣を愛してること」を伝えて欲しいと頼まれたが、遮って撃ち殺した)
    臣「………抵抗はやめろ。オレ達の負けだ」
    場地さんに後を任してワカベンに連行される臣。傷が回復したら高級車に乗せられオフィスビルへ──

    真が臣を”取り戻した”後は場地が若頭となって組を守る。
    もの凄く異論があるし、暴れたいがどうしたらいいか分からない。自分の手に負える罪ではなくなってしまった。
    真に対して罪悪感が強く、臣にも受けた恩があるのでひたすら耐える。ツラァ…
    でも東卍を託した千冬ぅと(地獄の)再会するし表だってペヤング半分こ出来るから(震え声)
    事務所の椅子は空席だが組長代理は臣。真の傍を離れることは(でき)ないので愛の巣にいる臣に報告、相談しにいく。

    三途の設定はあやふや。唇サキイカ問題は起こすべきか否か…とりあえずこの軸では黒幕?リーパー?知らん!なンズ。
    兄貴が割と人間しているので好感度は低くない。盗みに入って死んだ🐯が悪いよ、🐯が~!なので。
    でも自分とンジュを置いていったことは許してはいない。
    王を裏切った(=敵対した)場地は傘下に加わってから裏切ったら即スクラップするとは決めている。保留状態。
    マイキーが嬉しそうで複雑。
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