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    aya_tugu

    @aya_tugu

    ポイピクはリべ小説って形を取っています(仮)
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    aya_tugu

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    サウオミ 小話 ちょっとお下品 湿度の高い臣がいる

    【バレエ・メカニック】──どうしてこうなったのか。人生は何が起こるかわからない。

    寝返りを打とうとして全身に響く痛みで目が覚めた。
    肩の噛み痕がじくじく熱を持っている。腰は砕けて膝も笑っていた。
    髪や肌はベタつかず、シーツも滑らかだ。存外、男は抑えが効かないが、気遣いが出来るタチだと知ったのはいつからだったか。
    鍛え上げられた肉体が紫色の特服に仕舞われる様を眺めていたら、視線に気が付いた男がピアノの鍵盤に触るようにオレの頬を捕らえて肉厚な唇でオレの抗議を食い尽くす。
    男は特徴的な笑い声を上げて家から出て行った。
    大きな背中を見送ったオレは情けない呻き声を上げながら、鈍い身体を起こして身支度を始めた。

    ***

    その男は突然現れた。日々の生活もギリギリの落ちぶれたオレなんて誰も見向きもしなかったのに。
    突然現れた大男は言ったのだ。”明司武臣、オレの仲間になれ”と。
    最初は断った。その後、オレは数メートル吹っ飛ばされた。誇張なんてしちゃいない。
    目の前の大男は一八〇㎝ある成人男性を軽々と殴り飛ばしたのだ。

    衝撃で心臓が止まったンじゃねぇか、と空白になった意識を痛みが引き戻す。
    這いつくばって壊れたカエルの玩具みたいな呼吸を繰り返すオレに向かってもう一度”仲間になれ”と言った。

    アイツに手加減なしで殴られたことはない。そもそも無闇に手を上げる男じゃなかった。
    この男のように自信たっぷりに暴力を振るう男じゃなかった。優しい男だった。
    なのに、どうして──

    「──ッテェな。仲間に、する前に、死んじまうだろうが」
    「このままなら死ぬ……どうする? ”軍神”」
    「コレが”軍神”って様かよ」
    「無様だな。だが生きている」
    「………」
    「オレに下るか、ここで死ぬか」

    片手でオレを引き上げた男はサウスと名乗り、”不良の時代を創る”らしい。何もかもアイツとは違う。
    それでも、オレを殴った掌を取るしか他に道が無かった。無かったんだよ。

    「さぁ”狂騒曲”を奏でよう」

    ***

    アジトで書類を広げていると、気が付けば日が傾いていた。夏に近づくにつれ、夜が遠のく。
    余計なチョッカイもなく問題児共は出掛けているのだろう。そのまま帰ってこないで欲しい。
    オレの一服が終わるのを待っていた金庫番が声を掛けてきた。律儀なこった。

    「総代補佐、昨日の試合の売上ッス」
    「総代には見せたのか?」
    「えっと、見せようとしたら”武臣に任せる”と──」
    「ハァ、そこ置いとけ。帳簿係にはオレが連絡する。もう行っていいぞ」
    「ッス。失礼します」

    札束が詰められたアタッシュケースをテーブルに置かせて隊員を下がらせる。
    新しく考えている別事業の費用に回されたのだろう。サウスの許可が出たようだ。

    「あの野郎、仕事を回すなら手加減しろよ」

    痛む腰を庇いながら、新しい煙草に火を点けた。
    ブラインド越しの空は急な夕立で慌ただしく、室内では雨音を宥めるようにピアノの音が響き渡る。
    男の演奏を邪魔するものは誰もいない。野獣が紡ぐには繊細な音色。もっと激しい曲で雨音を掻き消して欲しい。
    憧れていた男が殺されて、いや、男の葬式すら思考の外に追いやっていたオレが別の男に現を抜かすなんてな。
    どうしようもねぇ。救いようのねぇ男だよ、オレは───だから、もう、オレを忘れてくれ。



    ※※※※
    ブラフマン成立が遅く、サウスが先に武臣をスカウトしていた世界線。六破羅単代 総代補佐 明司武臣(以下、六臣)
    彼は死の恐怖に負けて手を取ったのか、あるいは───

    落ちぶれ臣ですが、サウスニキはギャング世界で生きてきたので、過去の栄光が落ちぶれるのは当然だし、生き残っているなら再起出来るだろう精神で臣をスカウトしています。弱肉強食。死んでないなら弱くはない。そして実際に化ける。
    最終回の臣を見て、本当に才があるのか分からなくなりましたが「調子に乗れるほど周りが持ち上げてくれる」というバフが彼にはありそうなので、サウスニキも腕力ではない力を認めて手元に置くと思います。恐怖の支配は変わらず落としどころがある感じ。
    ただし、喧嘩には弱いので主席はカクちゃんだし、元天竺が幅を利かせている。六臣は総代補佐だが権限はカクちゃんが上。
    ただ本人はやる気は無いので明司に投げている。実質サウスが7・六臣3で運営。サウスが暴力的過ぎるので、サウスの7割の構成員も(マズイ)案件は一旦明司さんに通せ、が暗黙の了解になっている。ヘェタニ兄弟は殴られたくないので明司に報告をするが、サウスの代わりにカクちゃんにゲンコツをもらう。

    関東”最大”の勢力で下っ端が命懸けでチャカ用意して行動しちゃうカリスマ性がサウスニキにはあるので、臣のパワーイズマネーと上手く噛み合わさってより強固になる。
    組織はデカくなるとトップの目が届かなくなるのが問題なので、ブラフマンのようにビジネス向きに管理、運用すれば金も稼げて先走るバカが減る。WINーWIN。
    コッソリ思ったけどブラフマン地下格闘技をB-1と称していたなら六破羅ならR-1?健康的な暗喩ですね。

    この六臣は特服がサイド垂らして後ろに一括りしている(私の好み)
    最初は不本意な加入なんだって意思表示でオールバックのキメキメじゃなかった。
    サイドを染めたのも後から。キチンと総代補佐としての貫禄出そうとオールバックにしようとしたけど、この色の特服とその髪型似合わなくね?と六本木のカリスマが言ったのでオールバック臣にはならない。
    お団子はサウスと被っちゃうし、縛らないとシオちゃんとリンドウと髪型が被る。
    カラーリングで差をつけるけどガキと一緒の髪型もなぁ~と思ってローポニテおじさんになる。敵対組織の弟はハイポニテ。
    目が大きいし、サイドの髪の毛を下ろしているとブラ臣より若々しく見える。むしろサウスニキの貫禄がヤベェ。

    この世界線の臣は「落ちぶれたオレは誰にも見向きもされなかった」と思っていますが、見守っているベンワカはいたし、気に掛けていたンジュちゃんはいます。でもベンワカの優しさは分かりにくい優しさであり、ンジュちゃんは妹で家族としての声掛けだったので臣は気が付かなかった。生活も苦しくて命掛っている時に分かりにくい優しさよりもシンプルな利益に飛びついてしまうのは当然のことで、それが彼の愚かさでもあります。

    サウスニキの好みの漢はベンワカ、ドラケン、カクちゃんなので臣は好みではない(弱肉強食の理)
    しかし、マイナススタートではない。優良な手札なので手放さないし、捨てない。
    弱いが自分に噛みつくプライドがあるのは好きそう。
    臣は弱いし情を持ちやすいので自分を裏切る要素が低いのも高ポイント。弱さを見せれば殺される=弱さを見せても裏切らない相手に飢えている。
    絆されてからは肉体関係を持つし、過去の男に囚われていることも知っていても待つ。音楽家っぽい繊細さもあるので暴力で心はへし折れるが、こちらに向けることは出来ないと知っていそう。

    臣もサウスは好みの漢ではない。恐怖の対象だが、身内には謎の信頼や甘えが出る男なので(例:最強だと思っているベンワカが好ましくない運営方針を取る、兵器と称して金を稼ぐ発言を妹に向けて発言する等)
    サウスニキ相手でも情が絶対出る。調子ノリ臣への篤い信頼(嫌な信頼)あと純粋に自分に優しい男に弱そう。アレ…他のヤツと扱いが違う???愛されてンのか??オレ??→オレ、オマエ、スキ。
    猛獣が自分の前だけゴロニャンしたら優越感堪らんじゃろ。恐ろしくても手放せない。
    サウスニキに時代の風を感じたことでバグる。この臣は雨が真マウントではなく呪いになっているので雨の日は憂鬱。
    そんな時はピアノの音色が聞こえるらしい。呪いの言葉は塗りつぶせないけれど、それだけではない。生きていれば、思い出は増えていく。

    タイトルの【バレエ・メカニック】は坂本龍一の『Ballet Mecanique』より。
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