「はい、どうぞ」
「どうも……って、まだ何も言ってませんが」
「?お菓子をあげるお祭りじゃなかったっけ」
「…どうやら別の催しと綯い交ぜになっているようですね」
「(ナイマゼってなんだ…?)う〜ん…。この前は欲しいって言われたのに持ち合わせがなくて…それで怒ってたんだろ?」
「は?」
信じられない…
菓子がもらえなかった怒りでイタズラを決行したと、冗談ではなく本気でそう思い込んでいたとは。
「ずっと悪いなと思ってて…。だから今回はちゃんと用意してきたんだ」
あなたにとって私は幼児か何かですか。
「……はぁ……。律儀に配慮頂いていたようで。お心遣い痛み入ります」
…ならば、幼児らしく我儘に振る舞って差し上げましょう。
「ですが、この程度の施し…。本当に詫びる気があるというなら、少し誠意が足りないのではありませんか?」
「…え?」
「おや、何を驚く事があるのでしょう。あなたにとって、こんなちっぽけな量ほどの気持ちで限界だと?私に向かって大事だ何だと愛を語る割には、存外心が狭かったのですねぇ…」
「ち、違う!オレは、本当にフールクのこと…」
「違うと言うのなら、証明してご覧なさい」
「…しょう、めい…?」
「難しく考えることはありません。とても、簡単なことですよ。ただ私の言う事全てに従うだけで良いのです」
「え…それだけで本当に良いのか?そうすれば、オレを信じてくれる……?」
「ええ。あなたの無礼を赦し、そして思い直して差し上げますよ」
「分かった。何でも言ってくれ」
「何でも、ですか?フフ……。困りましたねぇ……」