ワースが何者かに襲われた。
自身の執務室にて黙々と、そして淡々と書類を捌いていたオーターがそう報告を受けたのは、もうすぐ昼になろうかという時だった。
犯人は一本線と二本線の二人で、応戦したワースが再起不能にまで追い込んでいたため逃げられることもなく、拘束することが出来ているらしい。
傷だらけの身体と、枯渇しかけた魔力。どうにか気力だけで立っていたワースは駆け付けた魔法局の人間を見るなり気を失い、病院へと搬送された。一時は危なかったが、今は容態も安定していると。
話を聞き終えたオーターが初めにとった行動は、ワースの元へ向かう事ではなかった。拘束されている犯人の元へ行くと言う。それは任せてワースの元へと言われても、オーターは聞く耳を持つこともなく執務室を後にした。
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