ジグソーと人間町外れにある寂れた小さな商店は営業時間なのに今日も今日とて暇だった。祖母が営んでいる商店で、お小遣いとかを上乗せしてバイト代をくれるし、暇だから学校の課題をやっていようがスマホを触っていようが自由なので喜んで手伝っていた。来るのは祖母の友人や昔からの常連さん、近所の子どもたちくらいだ。あとは……1人だけ、よく来る若いお兄さんがいる。目つきが悪くて、くせ毛で、頬にヒビのような傷があって、人間か疑うほど手が冷たくて、ミステリアスな人。
(最近来ないなぁ……)
白いパッケージにスタイリッシュなデザインが施されているいつも彼が買っていくタバコを眺めながら思い出す。最後に来たのは1ヶ月ほど前か。いつもスナックや甘いお菓子、インスタントラーメンとかレトルトのカレーとかを買っていくくせに、その日はタバコだけを買いに来た。
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