真斗がレンに指輪をもらう話真斗サイド
「なにをしている?」
真斗がレンから指輪をもらう話
「なにをしている?」
「なにも」
ソファに座って二人でテレビを見ていた。画面を流れるテンポのいい会話は音也とトキヤのもの。
「ならなぜ俺の指を撫でている」
肩が当たるほど近くに座るレンはさっきからテレビではなく真斗の左手に夢中だ。
「綺麗な手だなって。けどレディとは違うなって」
真斗よりも少しだけ大きな両手が真斗の左手の隅々までを触ってくる。指の間や爪の形を確かめるように。
「だからなんだと言うのだ?」
「なんでもないよ。テレビ見てていいよ」
そう言いながらもレンは真斗の手を撫でている。さっきよりも少しずつ力が込められ、マッサージのようになってきた。
「集中できん」
5733