その喉を晒して(全年齢部分) あの日から俺はずっとおかしい。何をしていてもシェゾのことばかり考えてしまうし、シェゾのことを考えると心臓に傷ができたみたいに苦しくなる。
でもシェゾは全然気にしていない。ように見える、ではなくて本当に気にしていないということが明らかな態度なのだ。あのあと温泉地で起きた出来事もそうだ。
この世界の魔導師にとって魔力のやりとりや、それに伴う接触は普通のことなんだろうか?
俺がそうした習慣を知らないだけで、ああいう行為は本当に意味を持たないことなのかもしれない。だから俺も、あれらは何でもないことなのだと思ってこれまで通り過ごそうとしてきた。
しかし、日が経てば経つほど苦しさは募るばかりだ。あの時のことやシェゾのことが、鳴りやまない音楽みたいにいつまでも俺の中で響いている。
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