湖面の月①日差しの暖かな昼下がり、ラベンダーベッドにたたずむ邸宅の庭の隅で、リオはしゃがみこんでいた。園芸鋏片手に、伸びすぎたかぼちゃの蔓を一本ずつ丁寧に剪定していく。余計な葉を落とすのは、その分の栄養を実に行き渡らせるための大事な作業だ。日の当たり具合を確かめながら、サクサクと切り落としていく。さくりさくりと作業をすすめ、切り落としたはずの手応えが妙に軽くて視線を落とせば、手の中の園芸鋏がバラバラになっていた。
「あれ?うわ…」
確かめてみれば、刃が折れたという訳でもなく、2枚の刃を繋ぎ止める金具の部分が割れてしまっているようだった。毎日手入れをしてはいたのだが。自分がグリダニアにやって来てからずっと使っていたし、花やら枝やらをたくさん切っていたから、寿命なのかもしれない。
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