クズ保険医ティキ×高3ラビラビ、高校3年生の夏、一度も訪れることのなかった一室に足を踏み入れようとしていた。
「うわ…」
そこには「不在」の2文字。
帰宅部のラビだが、今日は助っ人としてサッカー部の練習試合に参加していた。
高校入学当初から入部を促されるほどの運動神経を持ち合わせていたが、相手選手とボールの取り合いになり運悪くその指先が左頬をかすめてしまった。
軽い擦り傷だったが、消毒だけでもしてもらおうと、部活後にここ保健室を訪れたのだ。
(消毒と絆創膏くらいなら勝手に取っても怒られないだろ)
そう思い至ったラビは、挨拶も無しに戸を引き入室する。しかし、すぐにその浅はかな考えを後悔することとなる。
「きゃっ」
「へ?」
保健医が不在なら、無人であろうと考えたラビだったが、確かに戸に鍵はかかっていなかったし誰か休んでいたところを起こしてしまったのだろう。
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