唇よく喋る口だとは常々思っていた。
表情と共にくるくるハキハキよく動く。リアクションも大事な文化圏だからだろうか。欧米人と長く関わる事もそうなかったため、その変化を密かに楽しんでいた。
だからか、ふいに気になったのだ。
それだけ動くのなら柔らかいのだろうか、と。
日本上陸を果たし一息ついたタイミングでの酒の席。気も緩んでいたのかもしれない。
だから特段理由もなく、話の流れにも関係なく。思いついたままに隣でニコニコ喋っているスミスの唇に手を伸ばし、つまんでみた。
おぉ、やっぱり柔らかい。
2、3度ふにふにとつまみ、感触を確かめる。表面は滑らかとはいえないが、厚みがしっかりとある。
縁をなぞりながら、やはり俺より幅が広いことも確認する。てか唇ってこんなんなんだな。自分のでも意識して触ったことなかったな。
2002