旬最上白川美濃部諸菱 スイカ割「夏ですよ!海ですよ!!!水篠さん!!!」
「わかったから、その浮かれた完全装備をそろそろ外せ」
海水浴が楽しめるこの場所ではパラソルを広げ優雅に読書をする人もいれば、海に出てサーフィンをする人もいた。
そんな中、休暇を諸菱に出された旬は海に来ていた。
「海といえばスイカ割!水篠さん!早速どうぞ」
「諸菱くん……???」
「あ、目隠ししますね」
「ちょっ」
「これ、どうぞ」
軽い棒を渡され何も見えない旬は諦めてスイカを探す。
「もう少し左ですよ」
「最上、さん?」
「いやいや、右だろ」
「白川さんまで」
「えー、このまま前に行ってもらいましょうよ」
何故この三人が居るのか、全く見当もつかないがとりあえず美濃部の言葉を信じ旬は言われた通り前へ進む。
「…!ここか!!!」
棒を振り下ろすと、砂の感触が棒から伝わり旬は目隠しを外して周りを見れば、何処にもスイカは無い。
諸菱はあわあわとしながら、美濃部が抱えているのを取り返そうとしていた。
「……美濃部さん」
「いやー、なんだか面白そうって思いまして、割るの勿体ないでしょ?」
「うぅ、水篠さぁん」
「……いいですよ」
目隠しを美濃部に渡すとスイカは白川が配置する。
「さぁ、俺にまかせてください!」
「美濃部ハンターそれメイスです、それ棒じゃないです!!!」
諸菱が必死に美濃部を止めるが、さすがゴリラヒーラー全くびくともせずメイスを地面に叩きつけた。
「惜しかったですね」
「惜しくないです!!!美濃部ハンターが一番勿体ない事しようとしてませんか!?」
美濃部の目隠しを白川が受け取り、今度はしっかりと棒を握ってくれた。安心した諸菱。配置されたスイカに向かって歩く白川。目の前について、スイカがある事に気づいたのか、思いっきり棒を振り下ろす。
「おっと、手が」
最上がそういうと、スイカがコロコロと別の方向に転がり、白川が振り下ろした棒は粉々に砕けた。
「棒ーッ!!!」
よく分からない声を放った諸菱は粉々になった棒の残骸を前にして膝を地面に下した。
「おい、最上」
「なんのことかさっぱり」
しれっと目隠しを受け取り、眼鏡を外して棒を受け取ろうとしたが、先ほど白川の手によって粉砕された。
「俺のでよければどうぞ」
「ありがとうございます、美濃部さん」
美濃部からメイスを受け取りスイカに向かって歩いて行く。
「最上ハンター!!それ、メイス!!メイスですぅ!!!」
もはやツッコミが足りないのではないのだろうか。
ようやくスイカを割る事に成功したが。メイスの重さは計り知れない。
「うわー!スイカー!!!」
諸菱は叫んだ。そして誓った。旬と行く時は絶対にこの人達は誘ってはいけないと。
「なんだこれ」
旬は遠い目で見ていた。