『ちょっとしたブレイクタイム』一人で黙々とタブレットを触りながら、隣にあるブラックコーヒーを飲む。
白川なりの休憩時間で、こうやって日によって違うカフェでゆったりするのがルーティーンだった。
「……あの、水篠ハンター」
「はい、なんですか?」
「じっと見すぎです」
「……すみません、普段どんな事をしているのか気になって」
「それなら俺でなくても他の候補が居たのでは…?」
うーん、と悩む旬に白川は頭を傾げる。何も自分でなくても最上、美濃部、黒須など他にも旬の頼みなら聞いてくれそうなハンター達は山ほどいるだろう。
それなのに何故態々自分を選んだのか。白川は少し気になった。
「……最上ハンターは個人的に…関わりずらいというか…」
「あぁ…あの名称ですね」
「はい…、あとはそうですね…黒須ハンターはちょっと…」
「何かされたんです?」
「いえ、いや……だいぶスキンシップが多い方だったので、俺は苦手なタイプです…そういうのは諸菱くんだけで十分なので」
スキンシップと聞いて白川は頭の中で回転させる。いつもの手癖が出て旬の体でも障ったのならば、罰を与えねばと思い、すぐにこの事を別のハンターにメッセージで知らせると、瞬時に部隊が出来上がり死神ギルドに乗り込むというのがちらりと見えた。
「では剛は?」
「美濃部さんはそうですね……時代劇の話が長くて…」
「アイツは変わってますからね…向坂ハンターは?」
「目の前で倒れるので…」
それだと気になっても見れないなと思い、自分を選んだことをとりあえず納得するが、いや、日本じゃなくてもいいんじゃないかと考え始める。
「他の国のギルドマスターは?DFNのリューは…」
「そういえばそうですね……聞いてみようかな…」
「俺なんかよりはそっちの方が良さそうですね」
「そんな事、無いですよ」
はは、と笑う旬の顔に思わず目を見開いてしまう。
白川にとって、旬のこういった表情を見るのは初めてで新鮮で、なにより初めての感情が芽生えた。
「可愛い…」
「え?」
「あ、いえ……ンンッ…何でも無いです」
顔を逸らし窓の外を見れば何故か煽り顔で最上が口に手を当て笑っていたのが見えたので、拳を握って店の外へ出て喧嘩が始まるまで残り一分。