『おはよう』黒いスーツに着替え、髪を整えてからいつものサングラスをかける。寝室に寝ている男は、窓から差し込む明かりから逃れる為に布団を頭まで被る。その様子に自然と笑みが零れ、布越しから頭を撫で出て行く音が部屋に響いた。
数分後、ゆっくりと布団の中からもぞもぞと動きながら、起き上がって扉の方へと顔を向けた。
ハンター協会へと出勤した犬飼は、机へ向かって歩いていると、自身の影の形が歪に変わっていき奥へと延びていく。影の中からぬるりと人が出てくる。先ほどまでベッドの上で寝ていた旬が、髪がボサボサのままで犬飼の前に現れる。
「…もう起きられたんですか? もう少し寝ていてもよかったんですよ」
「今日は一緒に、行こうって約束…しましたよね」
「え…えぇ、まあ…ぐっすり眠っていたので」
頬を指でかく犬飼に旬は口を尖らせる。
「……次は起こしてください」
「わかりました、次は一緒に」
『おはようございます。』