バカのバラード最近、真ちゃんが会う度にカッコよくなっている。オレの贔屓目じゃないぜ?マジなんだって。
高校時代に散々いじってやった日曜日のパパさんスタイルはすっかり形を潜め、今日は白いスラックスと涼しげなサマーニット。おまけに七三分けの三のほうをゆるく撫で付けちゃって、まったく何処のイケメン大学生だよ。
そんな見目麗しい姿は道行くお姉様方の気を惹きまくるわけだが、そこは流石のエース様だ。我関せずといった態度を貫く。というか、気付いていないのだろう。えんじ色のブックカバーが掛けられた文庫本を熱心に捲っている。
「よっ、真ちゃん。相変わらず来んのはえーのな」
「特別早くもないのだよ。どんな相手でも待ち合わせには10分前に到着しておくものだ」
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