愛のつづきに夜の帳は降りてしばらく経ち、今は空気よりも腰を下ろした地面の方があたたかい。
野営地を見渡せる見張り場所に広げた敷布の上、あぐらをかいて、月を見上げる。ゲイルの渡してくれた夜食をいつ食べようかと考えていると、気配を隠さず近づいてくる足音に気づいた。
「差し入れだ」
そう言って差し出されたボトルを受け取る。揺れる液体が瓶の中で音を立て、その半分ほどはすでに胃に流し込まれた後だとわかる。特段酔った様子もないアスタリオンは、もう片手に持った本とともに隣に腰を落ち着けた。
「ありがとう。眠らないの?」
「もう十分。それより腹が減ってね」
「ああ」
おおかた用件はそんな所だろうと予想はしていた。私はほとんど毎夜、この親しき友人に血を飲むことを許している。
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