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    bon_gnki11

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    bon_gnki11

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    勘違いが加速するアスシン
    劇種後でそれぞれ出向を終え軍に所属しています

    オーブ軍とザフト軍の合同軍事演習のためシンはオーブへとやって来た 指揮を取るのはアスラン・ザラ一佐だ シン率いるアスカ隊の隊員達は噂に聞く英雄との対面に緊張と期待と憧れの眼差しばかり シンはそんな部下達の様子に誰にも気づかれないよう小さく笑った かくいうシンも久しぶりにアスランと顔を合わせて浮き足立っているのは秘密だ

    ………なんて言っている内はよかった そんな事を考えていた自分は可愛いものだ
    演習中のアスランは厳しかった とにかく厳しかった 勿論自分だけではなくもれなく隊員達にも鋭い指摘と注意とダメ出しと…全部一緒か MSに搭乗すれば通信機越しにアスランの叱責、降りれば直にアスランの叱責…正直演習云々より怒られたことしか覚えてない
    主に言い方に腹が立つのは相変わらずだがアスランの言う事は理にかなっている 俺は慣れているけど隊員達のモチベーションが下がらないか不安だった でも皆の顔を見ると自信を無くした訳ではなさそうで良かった でもこの後俺だけまとめてあの人に怒られそうだ そうやって演習1日目はなんとか終了した

    「おいシン」
    「(げっもう来た!)アス…、ザラ一左お疲れ様です本日はありがとうございました」
    「いい 演習はもう終わったんだいつも通りで構わない」
    「あぁ…はい」
    「ところで」
    「(!怒られる!)は、はい」
    「この後出るぞ オロファトに行く 着替えたら1900に港へ来い」
    「…え え?」
    「ちゃんと準備して来いよ」
    「?は はあ」



    停泊した自身の船に戻りシャワーを浴びて着替えようとするが…

    「オロファト…街に行くってことは軍服…じゃないよな?私服、って事は…」

    潜入任務か?アスランはちゃんと準備して来いとも言っていた だったら動きやすくて目立たない格好だ ハンドガンはショルダーホルスターにパーカー着て…サバイバルナイフはレッグホルスターでズボンの下に…あとはキャップ被ってスニーカーで…これでいいか うん普通の一般市民にみえる



    約束の時間 港にて

    「お待たせしました」
    「いや大丈夫、だ…………シン、その格好は」
    「えっ駄目でした?」

    アスランは立派なスーツを着ていた しまった俺のはカジュアル過ぎたか 格式高い場所の潜入だったか

    「あっ…すみません 俺正装は…軍服しかなくて」
    「そうか いや大丈夫だ 道中で揃えよう オロファトには車で向かうぞ」
    「はい…じゃあ」

    ガチャ 俺は運転席のドアを開けた…が

    「待て お前はこっち 助手席だ」
    「えっ?俺が運転しますよ」
    「なんでだ」
    「なんでって…普通は部下が運転するものでしょ」
    「は?」
    「え?」

    ??? なんだ?今までだって任務の時は俺が運転してたじゃん それよりもこの真っ赤のオープンカー任務には不向きじゃないか?目立つだろ

    「…とにかく、俺が運転する お前は座ってろ」
    「?はあ…」



    アスランが運転する車で連れてこられたのはまずテーラーだった 店構えからわかる とんでもない高級店だ

    「彼に合うインフォーマルをいくつか見繕ってくれ 靴も頼む」
    『かしこまりました』
    「ちょっ ちょっとアスラン!」
    「なんだ?」
    「こっこんな高そうな店…!いいですってば!俺はもっと安価なやつで十分ですよ!」
    「正装は一着は持っておくべきだぞ 今後必要にもなるだろうし ほらまずはこれを着てみろ」
    「だからって…ヒィッ0の数が!」

    結局 何着か着せられてアスランが選んだ物を購入した あの人平然とカードで支払ってたけどこれちゃんと経費で落ちるんだよな!?持って来たハンドガンとナイフは隠せたが…これから任務だというのにこんな真新しい格好で大丈夫か?慣れてない上に動きにくい

    「よく似合ってる」
    「どうも…」

    アスランはなんだか楽しそうだ この後の任務も余裕って訳ですか 流石エリート様



    そして連れてこられたのはオーブでも屈指のラグジュアリーホテル エントランスホールを歩くのはいかにも上流階級の人々 ここじゃあんなカジュアルな服装は逆に目立ってしまうな…選んでもらってよかった
    慣れた様子でエレベーターを操作し上階へと進んでいくアスランの隣で俺は いよいよ任務開始か…と背筋を伸ばした

    「(まず経路の確認…エレベーターと階段の位置…)」
    「シン こっちだ」

    誰にも悟られないよう辺りを見回していると着いた場所はレストラン そしてウェイターに通されたのは夜景が綺麗なテーブル席だった

    「…?」
    「食事にしよう」
    「!えっ あっ はい… はい?」
    「腹減っただろ」
    「まぁそれは」

    他にも客はいるが俺達のテーブルは他と少し離れて孤立したような所で…所謂2人だけの空間というやつだ
    任務前に食事?いやこれも任務なのか?あっという間にアペリティフ、オードブルと運ばれてきてアスランは平然とそれを食べている じゃあ俺も食べていいんだよな…?美味しそうではあるがテーブルマナーに自信がない

    「ふっ マナーは気にしなくていいぞ 他の客とは離れた席にしたからな」
    「うっ…あんた俺がこういうの苦手だって分かってたでしょ!まさかフルコースですかこれ!?」
    「そうだが…気に入らなかったか?」
    「!いやっ違くて、慣れてないから緊張してるだけで…その、凄く美味しいです…景色も綺麗だし…でもいいんですか!?こんな高そうな店…!」
    「お前が喜んでくれたならそれでいいさ」

    なんて満足そうに笑うからそれ以上何も言えなくなった 任務だから上層部が了承しているだろうけどこんな贅沢していいのか?だとしたらオーブ軍は太っ腹だ…いやザフトにも請求きたりして…?



    「ご馳走様でした 美味しかったです」
    「それは何より」

    久しぶりにアスランとゆっくり話せて楽しかった てっきり今日の演習の事で怒られるかと思ったけどこんな所でおおっぴらに軍の話は出来ないしひとまず良かった

    「展望台に行こう」

    ハッとした 食事と会話に気を取られてしまったがこれは任務だ アスランは平然としているけどきっとずっと気を張っているんだろう
    展望デッキに出るとさっきとはまた違った夜景が望めた

    「(見晴らしがいい…誰もいない…)」

    あるのは数個のテーブルとベンチ、電飾のオブジェ…身を隠すには心許ないな ここにターゲットが来るのか?それとも狙撃?偵察とか?武器を取らないに越したことはないが戦闘態勢を整えておかなければ

    「シン 明日の演習は午後から…だよな」
    「…はい そうですね」
    「その 今日は船に戻らない …いいだろうか」
    「はい 大丈夫です」

    という事は夜通しの任務になるのか 徹夜は慣れている 明日の演習まで数時間でも寝れればラッキーなくらいだ
    食事の時アスランはアペリティフ以外にアルコールを飲んでなかった だから俺も飲まなかった この後動けなくなったら困るからだ

    ……それにしてもいい加減任務内容を教えてくれてもいいんじゃないか?余程警戒してるとか?大抵のことはこの人に合わせられる自信はあるけどそれでも作戦くらいは話し合っておきたい

    「シン、ここ…部屋も取ったんだ お前も気にいると思うんだが」
    「あの アスラン」
    「…ん?」
    「俺…ちゃんと準備してきました」
    「え…」
    「いつでもやれます だから…早くして下さい 俺、もう…」 
    「し、シン…!」
    「だから早く教えて下さい 敵は?どこの組織ですか?潜伏してるんですか?あとアスランの装備と銃の装弾数…作戦は?撤退ルートは?」
    「………は?」
    「え?」
    「……」
    「……?」
    「お前…今考えていることを言え」
    「は はい 俺は今回の任務について詳細を知りたくて」
    「〜〜〜〜!ッ違うだろ!!!」
    「はあ!?何がだよっ!!!」

    なんであんたがキレるんだよ!バディを組むなら必要な事だろ!

    「はあぁあ……お前…何か変だと思ってはいたが…珍しく緊張してるだけかと…」
    「ちょっと!自分だけ話を進めないで下さいよ!何なんですかさっきから!」
    「何って…お前今日誕生日だろ!!!」
    「………………えっ!?」

    本日9月1日 俺の誕生日だ
    え じゃあアスランは…

    「俺たち誕生日デートしてたって訳ですか!?」
    「それ以外に何があるんだ!」
    「言われなかったんだから分かりませんよ!演習であれだけ怒ってたしあんな厳しい顔で誘われたってそれがデートだなんて思う訳ありません!!!」
    「お お前だって準備してきたと言うから!」
    「任務だって思ったからこうやって準備して来たんじゃないですかっ!」

    ほら!とジャケットを広げてホルスターのハンドガンを見せる するとアスランはへにゃへにゃと力が抜け肩を落とした

    「いや…すまない 演習直後で切り替えが上手く出来なくて…誘い方がまずかったな…」
    「そうですよ!デートしようって言われたらこんな張り詰めなくても良かったのにあんたって人は!」
    「はあ…」
    「俺が準備してきたから…って何だと思ってたんですか?」
    「!………今夜は戻らない スイートルームを予約したってなったら…分かるだろ」
    「へ あ……」

    そ、そういうことですか…
    流石にそっちの準備はしてないよ…

    「あんたが酒飲んでなかったからこれから臨戦態勢になるものだとばかり…」
    「久しぶりに会ったんだ… た 勃たなくなったら困るから……」
    「!!!……あーっ馬鹿みたいだ俺達…もう部屋行きましょーよ…」
    「そうだな…」

    疲れたし気恥ずかしいし、怒ってるんだか嬉しいんだかもうよくわからない感情でぐちゃぐちゃだ

    「シン」
    「何すか…」
    「誕生日おめでとう」
    「!ありがと…ございます 一応、嬉しいです」
    「ふふ 一応か」
    「ある意味忘れられない日になりました」
    「俺もだ」
    「ねぇ」
    「ん?」
    「準備、するので…後はあんたがしてくださいよ」
    「!」



    「以上が本日の演習内容だ 各位配置につけ」
    「了解!」

    翌日午後 演習2日目
    昨日と変わらずアスランは厳しい表情をしている

    「(元気だなあの人…俺は眠いし腰痛いし…)」

    手加減なんてされず眠ったのは日が昇り始めた頃だった 演習までに数時間寝れればいいと思っていたがそれとこれとは話が別だ
    昨日はあの後部屋に着くなり2人してベッドに傾れ込み………という訳なのでプレゼントを受け取ったのは帰り道だった 高価そうな立派な腕時計 一目で気に入った………が、正装一式 豪華なディナー スイートルーム一泊…一体どれだけの金が一晩で使われたんだろうか

    「アスカ隊長 聞いているのか」
    「はっはい!」

    今考えるのはやめておこう



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