「ここに最近出来たスケートリンクの無料チケットが二枚あります」
リビングで歓談中、おもむろにニコが二枚のチケットを取り出した。ぴら、とニコの手の中で揺れるチケットに、そこにいたケイゴとミハルの視線が集まる。
「ああ、それでモリヒトさんとデー……」
「わー!ちょ、ちょっと待って!!」
一番最初にニコの思惑を察したミハルが、いつも通り言葉をオブラートに包もうとせず喋りだし、慌てるニコを察した座ったケイゴが口を塞ぐ。
「オレがどうかしたか?」
飲み終わったマグカップを洗っていたモリヒトにはミハルの発言は届いていなかったらしく、かろうじて聞き取った己の名前に応えた。
「なっ、なんでもないのよ!モイちゃんは関係ないの!」
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